第8話一緒にくらしませんか?
「そ、そんな…全然気が付かなかった…」
「夜とかはどうしてます?一人で泣いたりしてませんか?」
夜になると寂しくなって泣く子もいると聞く…心配で聞いてみると、ルーカスさんは少し考えるように目を閉じた。
「わからん…部屋は別だし」
「別!?アリスちゃんは今いくつですか!?」
「た、多分…四、五歳くらいかと…」
「四歳…まだ保育園に通ってる歳ですよ!そんな小さい子が一人で寝てるなんて…」
可哀想に…
「ほ、ほいくえん…?まだ何処にも通ってないが…一応寝る時に一緒に寝るか聞いたら顔をそらされて…」
「それってルーカスさんが男の人だから恥ずかしかったのでは?」
「まだ子供だぞ」
「でも女の子です!ルーカスさんはアリスちゃんの気持ちがわからなすぎです!」
「君ならわかるのか!?」
「ルーカスさんよりはわかると思います!」
「他人の癖に!」
顔がくっつきそうなほど近づいてお互い睨み合う。
少しずつ言い合いになり、気がつくとムキになって近づいていた。
私はハッとして一歩下がると、ルーカスさんも同じように気まずそうに頭をかいて下がった。
二人の間に気まずい雰囲気が漂う。
「す、すまん…言いすぎた。アリスを心配してくれて言ってくれてるんだよな」
「いえ…こちらこそ…アリスちゃんが心配で言いすぎてしまいました」
私達は同時に謝った。
すると…
パタパタ!
アリスちゃんが飛び出してきて私に抱きついてきた。
ギュッと顔を膝に埋める。
「ア、アリスちゃん?」
突然の行動に驚くと
「ごめんなさい、アリスちゃん突然飛び出してしまって…」
シスターが微笑みながら近づいてきた。
「どうもあなた達が喧嘩してるんじゃないかと心配したみたいですよ。そんな事ないと言ったんだけどねぇ」
二人に確認する様に笑いかけた。
「も、もちろんです!ねぇルーカスさん」
「ああ、悪かった…驚かせて」
私達が笑いあうとアリスちゃんは交互に私達の顔を見た。
そしてホッとするとまた私に抱きついてきた。
「ごめんね心配させて…ちょっとルーカスさんにお掃除のコツを教えてたのよ。これでもう部屋が汚れる事はないわ。ね!ルーカスさん!?」
私はアリスちゃんの頭を撫でて誤魔化す様にそう言うと…
「いや…それだけじゃ自信がないなぁ…そうだ、リナさん一緒に暮らしてくれないか?」
ルーカスさんは真剣な顔で私の手を握りしめた。
「えっ?」
「あら!」
私は突然の事に固まるがシスターはなんだか面白そうに笑っている。
「な、な、何を突然!まだ知り合ったばかりなのに…一緒に暮らそうだなんて…しかもアリスちゃんの前で…」
私は顔を真っ赤にすると、ルーカスさんがキョトンとする。
「えっ?あっ!いや違う!そういう意味でなくて」
ルーカスさんが自分が何を言ったのか気がついて慌てて否定した。
「リナさんが良ければ家に泊まり込みんでアリスの世話をして欲しいと…アリスも懐いてるようだし…どうだろうか、考えて見てくれないか?」
「そ、そんな事急に言われても…」
「何か他に仕事でもしているのか?それなら残念だが…」
「してないわよね?ちょうど仕事を探してるところのはずよ」
シスターが笑って告げ口する。
「シ、シスター!!」
「ならどうだろうか?それなりに稼いでるから給料は払えると思うぞ」
ど、どうしよう…確かに仕事を探していた。子供の面倒を見てお金を貰えるなんで理想的だが、未婚の男の人の家に泊まり込むのは…
私が悩んでいると…
クイッ!
アリスちゃんが服を引っ張った、そして期待を込めた目でじっと見つめる。
「ア、アリスちゃん?その顔…私に来て欲しいって思ってくれてるのかな?」
コクコク!
アリスちゃんにそんな顔をされたら…嫌とは言えない。
「ルーカスさん…精一杯務めさせていただきます。どうかあなたの家で働かせて下さい!」
こうして私はルーカスさんとアリスちゃんの家で働く事になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます