第4話料理

服を片付けて本や書類を整頓するとようやく床が見えてきた。


後はゴミやら細々した物を拾えば少しは見れる部屋になりそうだ。


「じゃあアリスちゃん布を口に巻くよ~ホコリが立つからね」


私は自分にまずマスクの様に布を巻くと部屋にあった真新しいハンカチをアリスちゃんの口を隠すように巻いてあげる。


「ふふ、おそろい!」


同じだねと笑うとアリスは嬉しそうにマスクを触った。


「じゃあアリスちゃんは窓を開けてくれる?私はほうきで部屋をはいちゃうね」


アリスちゃんは頷き部屋中の窓を開けに向かった。


その間に大きめのゴミをどんどん袋に詰めていくと、細かいゴミはほうきではいて集めて一気に拾い上げた。


仕上げに水拭きで床を磨けば…


「ふぅ~!こんなもんかな!」


さっきの惨状が嘘のような綺麗な部屋になった。


服は収納する扉を見つけたのでそこには詰め込んでおいた、アリスちゃんの服もしまったがやはり少し大きめサイズだった。


キッチンには食器が散乱してたのでアリスちゃんに許可を貰って洗い乾かしておく。


毎日修道院でやっている事なのでお手の物だ。


幸い食べ物などのゴミは少なく変な匂いはしなかったが…


「アリスちゃん…ご飯はちゃんと食べてる?」


私が聞くとコクッと頷く。


「何処かに食べに行くのかな?」


コクッ


なるほど…まぁ男の人なら料理などあまり出来ないか…この部屋の様子だとなおのこと…


食べ物の話をしていると…


ぐう~


可愛い鳴き声がアリスちゃんのお腹から聞こえた。


アリスちゃんが恥ずかしそうにお腹を押さえると


「たくさん手伝ってくれてたからお腹空いたよね。お礼に何か作ってもいいかな?」


アリスちゃんに聞くとうんうんと勢いよく頷く。


「ありがとう~!アリスちゃんは甘いもの好き?」


うん!


アリスちゃんからは大好きだという気持ちが伝わったきた。


「よし!ならちょっとお買い物に行こうか!?」


私が手を差し出すとアリスちゃんは躊躇すること無くその手を掴んだ。


二人で街にでて、卵と牛乳とはちみつを買ってくる。


また家に戻ると置いておいた食器がいい感じに乾いていたので閉まっておく。


そこからボールを出すと…


「さっきここに小麦粉が…」


片付けた時に見つけた小麦粉をボールに入れておく。


もう一つのボールに卵と牛乳、はちみつを半分入れて混ぜていると…隣でアリスちゃんが興味深そうに見つめていた。


「アリスちゃん、混ぜてみる?」


そう聞くとやりたい!と頷くので私がしっかりとボールを持ってアリスちゃんに混ぜて貰った。


よく混ざったところで今度は小麦粉を液体に足していく、様子を見ながら量を調節していると…


バフンっ!


アリスちゃんが勢いが良すぎて粉をまい散らせた!


二人で顔が真っ白になると顔を見合わせる。


お互いの顔を見ると笑いだした!


「あははは!」


「ふふふ…」


「あっ!アリスちゃん笑った!」


アリスちゃんの口から少し声が出た!


アリスちゃんは驚き口を押さえると


「無理しなくていいんだよ。出したいと思った時に少しずつで…」


真っ白な手を握りしめたて微笑んだ。

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