閑話01

「なぁタツヤ」

部屋を出て、横を歩いている背広の男にハリスは声をかけた。

二人が居る場所は先程居た部屋の三つ先の部屋の前。

 これだけ離れれば聞こえないだろう。

「なんですか?」

「緑茶ってあんな神懸かった効果なんて無いだろ?

 確か、こっちで飲んでるお茶と同じ葉っぱ何だろう?」

「えーっと、一応、緑茶も紅茶もリラックス効果と覚醒作用、両方とも有りますよ?気付かないくらい弱い奴が」

「気付かないくらい弱いやつって……、あんな自信満々に言うほどの物じゃ無いじゃないか」

「プラシーボ効果」

「あん?」

「元居た世界の言葉なんですがね、人間、思い込むと実現しちゃう事が稀に良く有るみたいでその事をプラシーボ効果って呼ぶんですけど、彼女らなんか緊張してたじゃないですか。

 で、こっちでは緑茶をほぼ飲まないので大げさに言えば信じるんじゃないかな?って思い立ちまして」

「本音は?」

「プラシーボ効果って本当なのか確かめてみたくなったできご……だだだだ!!」

皆まで言えず、ハリスにアイアンクローを食らわされるタツヤ。

 しかし、出来心だったとしても大本をたどれば緊張を解してやりたいという善意から来るものかも知れないのでいつもより若干弱めにしてやった。

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