(9)青空をみたい
「なっちょっええっ!?なんですか!?なんですかアレはーーーーーッ!?」
流石にベーネちゃんには上空でエーグルが下らない事を叫んでる声は聞こえてはいなかった様だ。
いきなりの巨大物体が空に表れた事に大層驚いている。
そりゃあ何気なく空を見上げていたらあんなキモいのが現れたんだ、驚くよな。
「アレはエーグルさんの魔法ですね、色々ありまして今は私の分身が彼を抑えています」
嘘である、既に私の幻影領域の魔法が決まっているので勝負はついている。
しかしトドメの魔法を使う理由がなくなるのでまだエーグルが頑張っている事にした。
「何かとても余裕綽々な感じがしますけど、アオノさんまだ何か隠してたりしません?」
「しませんしません」
鋭い、女の勘ってヤツですな。ボロが出る前に話を前に進めるか。
「先程の話に戻りますが、ベーネさんは以前もっと綺麗な青空が見たいと言ってましたよね?」
「え?あっはい、そう言えばそんな事を……」
「そこで今日は1つその願いを叶えてみようかと思います、私も魔法使いですから魔法でね」
「…………………え?」
ベーネちゃんが何か変なヤツを見る目をしてくる、まあこれから私がする事を考えたらそうだろうな。
私は右手を前に出す、そして召喚魔法を発動させる。
召喚魔法、これにも種類があるがザックリ説明すると私が前にいた世界の物を召喚する魔法と、ファンタジー世界らしくモンスターとか武器とかを召喚出来る2つの召喚魔法がある。
今回のは後者、ファンタジー世界にありがちな召喚魔法である。私は自身の魔力で無から創造した、一振りの剣を召喚した。
「そっそれは魔剣!?」
「この剣の名は、
蒼い光を纏う剣、これは中年が滅多にふるわない武器である。
何しろ大半は拳で殴った方が早いからだ、別に暴力大好きとかって訳じゃないぞ。
私の拳は
そんな私が今のところ唯一振るう剣がこの1本である、まだ魔法鎧は残っているので全力とはいかないがあの植物ボールと空の結界をどうにかするのならこれで十分である。
「なっなんて魔力なの……それはただの魔剣ではない様ですよね!?」
まぁね。何しろ自作の魔剣ですから。
「……行きます」
「………何をするつもりなんですか?」
ベーネちゃんの疑問に、私は空に向かってこの蒼光輝剣を一閃する事で答えた。
蒼光輝剣から放たれた青い光の奔流は植物ボールを容易く呑み込んだ。
ちなみに中の中年は身動きを取れなくしたエーグルにバイバイして既に消滅している。
だから遠慮なくあの植物ボールを破壊出来るのだ。
もちろん殺しはしないよ?軽く気絶して身体を焦がす程度のダメージを与えて衣服を消し飛ばして学園都市にダイブさせるだけである。
あのイケメンも結構頑丈だから多分死なないだろう、そして植物ボールを消し飛ばした私の攻撃はそのまま結界の方に直撃である。
ドゴォオンって凄まじい音がして空全体が一瞬青い光に染まった。
あまりにも眩しいので少し目を閉じる、そして数秒後………。
「アッアオノさん、これは………」
「ご覧の通り、青空ですよベーネさん」
私の攻撃で、魔法学園都市全体を覆う大結界の天井部分を消し飛ばした。
そしたら少し懐かしいいつもの青空が中年と眼鏡メイドを迎えてくれた、やっぱり空は青空が1番落ち着くんだよな。
「あっもちろん破壊した結界は私が新しいのを張り直しておきますから安心して下さいね?」
変な心配事を残さない様に配慮する。
「………あの~~あの大結界はそもそも学園都市をここに築いた初代学園長しか扱えなかった物なんですけど」
「………………」
「何しろ規模も効果も絶大な結界魔法ですから、他の学園長は魔力を込めて結界の維持までなら出来ますが結界の張り直しなんて出来ません。そんな事が出来る魔法使いなんて聞いた事が……」
「フッフッフッ……外の世界は広いと言うことですかね?」
私は全力でとぼける事にした。
何やらまたやり過ぎてしまった予感、無自覚チート持ちなんて阿呆な連中でもあるまいし、ここは何とかとぼけて逃げ切るぞ。
ベーネちゃんは眼鏡メイドらしくピン底眼鏡をくいっとしてながらジト目で中年を見つめていた。
メイド服の上からでも伺えるその巨乳、その胸の谷間に顔を埋めたいであります。
ベーネちゃんのジト目に対して心の中のセクハラで対抗する、そんな私だ。
そして上を見る、うんっやはり青空に太陽のスカッと晴れやかな空は最高ですな。
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今日は3話投稿します。
次に投稿するのは来週の木曜日です。
星の評価お願いします。
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