アオノオデッセイ(2)学園都市編~生徒になって青春を取り戻すか、先生になって美少女だけのハーレムクラスを作るか、それが問題だ~
どらいあい
魔法学園都市エルマ
プロローグ『空にて…一悶着』
(1)空の旅の途中だけど…
私は飛行艇に乗っていた。
飛行艇ってのはまんま空を飛ぶ木造の巨大な艇である。
飛行機でも飛行船でもないよ、プロペラもエンジンもなしでスィーーって空を飛んでる、まあこの世界、剣と魔法のファンタジーな世界だからさ。そんな事もあるんだろう。
私はしがない旅人だ、生まれがこの世界じゃなくてとある島国出身の黒髪黒眼の三十路野郎ってだけである。
この飛行艇に乗って軽く二ヶ月くらいは経つ、何しろ私の今回の旅の目的地は海を越えた先であるからだ。
他の客の乗り降りや飛行艇の整備と流石に前の世界みたく飛行機に乗れば十数時間後にはべつの大陸とはいかない、そんな所はリアルファンタジー。
あっそうそう……。
そんな私が乗るこの飛行艇ね。
今、空の盗賊…空賊ってのに狙われてます。
◇◇◇とある空域◇◇◇
大空を進む、1隻の飛行艇があった。
そしてその飛行艇を追うもう1隻の飛行艇がある。
それは空賊と呼ばれる者達が操る飛行艇だった。
空賊とは要は山賊や盗賊の親戚だ、空を移動する飛行艇を襲い略奪行為をする者達である。
当然そんな真似は犯罪であり重罪、捕まれば即首が飛ぶだろう。しかしそんな事は深く考えずに空賊になった者も少なくない。
空の世界、自由、大金、そんなのにただ漠然とした感じで良さげなイメージを持った連中が空賊になるのだ。
要は山賊や盗賊と同じくあまり頭が良くない連中が多い、
「頭!オレ達の飛行艇は魔法を使ってるから視認されていません。このまま接近すれば……」
「ああっ分かってるその後は小型の飛行艇を出してあの飛行艇に乗り込む、そして中の人間を脅して黙らせれば、後は金目の物を全て奪ってやればいい」
「へっへ、金目の物だけですかい?」
「………フッそんな訳ねぇだろ?食料も女も全部頂くんだよ!逆らう様なら皆殺しだ!」
「へいっ!お頭!」
略奪者である彼らに容赦はない。
空賊達が更に飛行艇に接近しようとしたその時であった。突如として空賊の飛行艇の真上に巨大な魔法陣が出現した。
「なっなんだありゃあっ!?」
何十人もの空賊が乗り込む飛行艇よりも尚大きな魔法陣、その幾何学模様の様なものが刻まれた物から光り輝く無数の鎖が放たれた。
光の鎖は、その1本1本がかなり大きい、それらが空賊の飛行艇を捕らえた。
飛行艇は一瞬で空に吊されてしまう、空賊が飛行艇をどれだけ操作しても身動き1つ取れなかった。
当然だが空賊達はパニックになる。
混乱する者、敵襲だと叫ぶ者、武器を手に船の甲板に出て行く者、実に様々な反応を見せる。
この時点で空賊達は、逃げ場のない空の上で『狩る側』から『狩られる側』になった事を理解出来る者は少なかった。
◇◇◇空賊の飛行艇・
「なっなんだこりゃあ!?」
空賊の1人が驚愕の声をあげる。
彼の目の前にはさっきまで獲物として定めていた飛行艇へと乗り込む為に準備していた小型の飛行艇が無残に破壊された姿があったからだ。
更に飛行艇を甲板に運び出そうと向かった空賊達が1人残らず倒れ伏している。
(間違いねぇっ!何者かがこの艇に入り込んでる)
「オイッ!これは何が起きてんだ!?」
「俺が知るかよ!お頭は何処だ!?」
「あの上の魔法陣から鎖が伸びてる!これじゃあ飛行艇が動けねぇぞ!」
「お頭を!お頭を探せーー!」
「ここにはいねぇよバカ!落ち着け!」
他にも空賊がゾロゾロと甲板に現れた。
全員が額には汗を流しながら、息を切らしてる有様だ、一方的に襲う事はあってもここまで何が起きてるのか分からない状況には慣れていないのか余裕と言うものが一切なかった。
そんな空賊達は今の今まで気付かなかった。
この甲板に、自分達空賊以外の者がいる事に。
「……ふんっ狙う艇を間違えたな。空賊風情が」
その者は女性だった、顔立ちも整っていて瞳が赤い。スタイルも良くモデル顔負けの美女だ。
赤い髪を風に踊らせる褐色の肌の女性でラフな服装をしている。
しかし腕にはゴツい手甲を身に着けている。
いきなりの美女の登場にあ然とする空賊達。
だが直ぐにそれぞれの武器を構えると戦闘の空賊が叫んだ。
「おっ!女ぁっ!お前が知ってる事を全てはボゲェギャアーーッ!?」
「うるさい、喋るな、不快なんだよお前らは。何から何までな……」
美女はゴツい手甲で何の躊躇もなしに空賊の顔面をぶちのめした。
襲う相手に容赦をしない彼ら空賊は、自分達が容赦をしてもらえる事もない事を初めて理解した。
美女の動きが全く見えなかったのだ、一瞬で実力差を理解した者は後ずさり、その差を理解する事も出来なかった者は大声で威嚇しながら突っ込んでいった。
「ぶっ殺してブキャォッ!?」「このクソメスハブォオッ!?」「おっおお、女風情がぁあダナバアッ!?」「ぶちおかしバギャボッ!?」
全員顔面を殴られ石ころの様に吹っ飛ばされる。
後ずさりした空賊が踵を返し逃げようとする。
「……フゥッ……シア、あまり遊ぶのは感心しませんね、直ぐに片付けられるのだから無駄に足掻かせることなく黙らせるべきです」
空賊達の退路を断つ様に現れたのはメイドであった。銀髪のロングツインテール、赤い瞳の美女だ。
特筆すべきはそのメイド服のスカートの短さと胸元が大きく空いている事だ。太ももの丸見えで胸の谷間もしっかり見える。
このメイド服をメイドに着せてるどこぞのスケベ野郎の性根が伺えるエロ仕様である。
一体何処の中年スケベ魔法使いの差し金だろうか。
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