告白

 放課後の教室に二人だけ


 彼女は俯いた顔をわずかに上げ


 コクリと頷いた


 彼は両手を振り上げガッツポーズ


 彼女の顔にはにかんだ笑みが浮かび


 からだの線も柔らかくなった


 彼はいま、どんな顔をしているのだろう


 ここからでは後ろ姿しか見えない


 私は腰をかがめた姿勢で二、三歩あるき


 背を伸ばすと廊下を走った


 のぞき見をする悪趣味な私


 涙が溢れる


 彼が彼女に気を引かれているのは知っていた


 私は告白をためらった


 そして噂を聞いて教室を覗きにきた私


 涙が溢れる


 ダメで元々と


 告白していたらどうなっていたろう


 いや、それでもきっと彼は変わらない


 いや、それならきっと


 私は変わっていたはずだ


 勇気のない私


 素直じゃない私


 逃げた私


 悪趣味な私


 私は後悔した


 上靴のまま校庭に飛び出し


 涙の溢れる目で空を見上げる


 もうこんな思いをするのはまっぴらごめんだ


 瞬きを繰り返し涙を落とす


 もう一度ふり仰いだ空は


 青く、そして高かった


 初夏の陽射しは痛いくらい


 私は涙の跡もそのままに


 笑った

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