第14話 出会い
随分と早くついたなぁ、王女には道なりにいくと、
1日かかるかもと言われたのだが。
不審に思いつつも、馬車からでる。みると、
錆びて片方扉の取れた門が目の前にあった。
門からかかっている鉄柵も所々錆びて、無くなっている。
正直この時俺はここがもともと妖精の住んでいたところとは思えなかった。俺には、貧民街のようなところに見えた。
「本当にここなんですか?」
思わず聞いてしまう。
「はい、ここで間違えないです」
運転手が言うならそうだろうと、
「わかりました」
と、返事を返す。ここの地理は一つもわからない。よって、
ここは現地の人の言うことを信じるしかない。
「あ、そういえば王女様からお金をオルトー様に渡すようにと。これをぜひ旅の軍資金にするようにと、おっしゃっていました。
では、確かにあなたをここまで送り届けました。
帰りは一人でお願いします。」
運転手はそういうとドューエサイドとは反対側の方へと馬車に乗って行ってしまった。
あっけねぇなぁと思いつつも、もうそとは真っ暗で、草むらからなんか出てきてもおかしくなさそうだから、とりあえず町へ入ることにした。
「おじゃましまーす………(小声」
とこそこそ町へ入ると、そこは町と言うにはあまりに寂れていた。店はどこもやっておらず、人もいない。住宅地?のように見える場所も家は2軒しかなく、その両方がボロボロである。そして、町は何か異臭がした。
「ここ生命体はいるのか……?」
あまりに活気がなく、生命体は何かいないかと周りをくまなく見る。すると、地面にミミズがはっていた。 ミミズと俺だけの空間が、より町の世紀末感を引き立たせる。
「とりあえず今日寝る場所を見つけねば、どこなら寝れる?」
ぶつぶつ唱えながら、歩いていると、何か聞こえてくる。声が聞こえて、思わずそっちへ行ってしまう。これは生存本能というやつだろうか。
近くまでいくと、より鮮明に声が聞こえる。聞くと、
「おい!お前なんかいいもんよこせよ。」
「なぁ、はやくしねぇと、死んじまうぜぇ〜?」
「や、やめてくださぃ、」
「あん? 声がちっせぇなぁ!」
……どうやら誰かが脅されているようだ。そっちを見ると、18歳くらいの男二人が14歳くらい? の女の子を脅しているようだ。少しこの先の展開が気になるが、これはほっといちゃあだめそうだ、
「はぁ、いくか。」
正直結構怖かったが、女の子が半泣きなのを見ているだけなのは、あまりにクズだし、俺も見捨てるほど馬鹿じゃない。
「おい! お、おまえたひぃ!」
思いっきり噛んだ。
「ん? なんだ、お前?」
「このガキの親御さんか?」
「そうかもな。いいもんみっけ。」
そういうと、この二人は思いついたように女の子を引き寄せ、
「おい! お前親御さん? って言うらしいな
ぁ!このガキが欲しけりゃお前の大事なもん置い
ていきな! じゃねーと……このガキもお前も殺
す!」
どうしたもんかと思い、困ってしまったが、軍資金の存在に気づき、咄嗟にポケットにあった軍資金から金を一枚だして、
「お、おい! この金でどうだ! おれの大事なもんだ! これと交換だ!」
すると横にいたメガネの男が、
「なるほど、金貨ですか……そうですね、しかし、あなたのようなフツメンでも服装から見て、
まだ持っていますよね?」
いちいち癪に触るやつだ。しかし、女の子の命がかかっているため、下手にここで暴れるべきではない。一度こちらにあの女の子を来させられれば、
あいつらに心置きなく魔法をぶっ放せる。金貨はまだ沢山ある。
すこし考える。
「……………………………よし!決めた!」
あとは行動に移すのみだ。
俺は、女の子を人質にとっているバカそうな男の方を標的にした。
「おいお前、これ見ろよ。」
「ん? なんだ?」
こいつ、すなおだな。
俺は、おもむろにポケットから金貨を4枚ほどだし、男の少し前に投げつける。チャリンと音がすると同時に、男は
「う、うへっ、金だぁ! これで一生暮らせるぞぉ! 」
と、両手で金貨を拾おうと前屈になる。
「よし、今だ! 『風の妖精よ! 力を貸したまえ! ウィンド!!』」
俺は男のお尻に向かって強風を吹かせる。こんなの普通はころぶくらいだが、男は前屈体型で金貨に夢中になっていたため、急な風に受け身も取れず、前に倒れ、頭を強打する。
「いまだ! こっちへ来い! 君!」
女の子は少し悩んだが、もう一人男がいたため、逃げるようにこちらへ来る。
するとメガネの男は、
「な、図ったな、貴様! あいつがどうしようもなくバカなのを利用して! 」
あ、お前もあいつはバカだと思ってんのか。
男は、ピクリとも動かない。気絶したようだ。
するとメガネが、
「ちっ、今回は負けましたか、まぁ、次会う時は
殺しますよ、では、!」
といい逃げる。今回は女の子を助けるのが目標なので、追わなかった。
「君、怪我はないかい?」
「…………………」
俺は女の子に話しかけるが、彼女はやはり警戒しているようだ。
「まぁ、とりあえずよかった。君、どこからきたんだい?」
「…………………」
相変わらず返事をしてくれない。カウンセリングの
仕事はこんな感じなのだろうか。
と、俺は女の子が何か握っているのを見つける。
俺は反応がほしくて、とりあえずなりふり構わず聞くことにする。
「それは、なんだい?」
「……………宝物」
!!!!やっと反応してくれた。
「うんうん! なんていうんだい?」
「……………………」
………女の子って大変だなぁ。
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