4話 初めての魔法
翌朝、小鳥のさえずりに起こされたわたし。
ベッドに入ったまま、周りの景色を見渡す。
「やっぱり……夢じゃないよね。夢のようなお話だけど」
そんな独り言が出てきた、と共にこれからの生活を考えて少し不安になるわたし。
「地球のお父さんやお母さん、友達たちはどうしてるのかなぁ」
そんな事も考えてしまう、そうしたって意味の無いことは分かってるけど。
「うん、前向きに考えなきゃね。まずは朝ご飯を食べて、冒険者ギルドにも行かなくちゃ」
そうして朝ご飯(パンとベーコンとスープだった、美味しかったよ)を食べた後、ギルドに向けて大通りを歩いていると、むこうから4〜5歳くらいの少年がこちらに向かって走ってくるのを見かけた。
……と思ったら転んじゃったみたい、倒れたまま泣き出してしまった。当然無視なんてできないので少年に話しかけてみる。
「きみ、転んじゃったみたいだけど大丈夫?」
そう言うと少年は立ち上がって泣きやんでくれた、よく見ると短パンだったので脚に擦り傷ができている。
「お姉ちゃん、擦りむいちゃって脚が痛いの」
もしかしてこれは貰った治癒能力を活かす時なのでは、そう思ったわたしはクリスちゃんに貰った紙の内容を思い出す。
えっと、イメージが重要って書いてあったよね。
「傷よ、治って……!」
そう言いながら傷口に触れないように少年の脚に手を置き、神様に祈ってみる。
するとわたしの手がぼんやりと光り、温かい感覚が流れ込んでくる。それとともに脚の傷口がどんどん治っていき、数秒後には元の白い肌が見えるようになった。
良かった、うまく行ったみたい。そう思っていると少年が驚いた表情で話しかけてきた。
「すごい! お姉ちゃん治癒魔法が使えるんだね!」
「たまたまだよ、きみが無事でよかったよ」
「治癒魔法は魔法の中でも難しいって聞いたことあるよ、とにかくお姉ちゃんありがとね!」
そう言って少年は再び走り出していった。
突然の出来事だったけど、わたしの能力が初めて役に立ったんだ、そう思うと嬉しくなる。
治癒魔法って魔法の中でも上位の魔法なのかな、だとするとこの能力を貰ったのは良かったのかもしれない。
そう感じながら、再びギルドに向けて歩き出すわたしだった。
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