第2話 京都へ

「京都だー」


ホテルのチェックインを済ませた藍は

イベントまでの余っている時間に観光

しようと計画していた。


「まずは、清水寺に行って、その次は

金閣寺、最後に霊山歴史館に行こう」


マップを広げ、場所を確認した後バスに乗り

目的地へと向かった。


「もうこんな時間、早く会場に行かないと」


色んな建物や歴史館に行った後、イベント

会場に到着し、ゆっくりと新撰組に関する

資料や刀を見ていた。


「この刀が和泉守兼定。土方歳三が使用

していた刀なのね。冷徹な鬼の副長

怖い人だったのかもしれないけど

誰よりも新撰組の隊士を大事に思って

いたのよね」


観賞した後、出口に向かおうとした時

綺麗な桜色の着物をきている女性に

声をかけられた。


「そこの方、これを受け取って下さい

ませんか」


「えっ、これは?」


「子の刻の間、この館に入れる券で

ございます」


女性は藍に券を渡した後、資料館の方に

向かって行った。


「子の刻って、確か23時から25時までの

時刻だっけ?入場特典なのかな」


疑問に思いながらも、一旦ホテルで休憩

した後指定された時刻に受付場に向かうと

券をくれた女性が立っていた。


「酉の刻よりも、暗くなっている為足元に

お気を付けて下さい」


「は、はい」


扉が開き中に入ると、確かに暗く足元が

見えづらく藍以外誰もいなかった。

不気味に思いながら、前に進むと奥に光が

見えた。


「あの光、何だろう。取り敢えず前に

進んでみよう」


小走りで光の方へ向かうと光が一層明るく

なり目を瞑る。光が収まり目を開けると


「な、何ここ!資料館じゃない!?」


見慣れない景色に、着物姿の人々が

不思議そうにこちらを見ている。


「ここは、どこ・・なの?」


この状況が読めず呆然と立ち尽くしていると


「そこの女、その服装は何だ!まさか

異国の物ではないか!」


刀を持った男は藍に近づくと、服を無理矢理

掴み何度も体を揺らす。気分が悪くなり

意識が飛びそうになった、その時


「貴様、そこで何をしている!」


「っ、新撰組か」


乱暴に掴んでいた腕を離し、走っていくのが

見えた。

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