第113話

夏休みは俺とさきと渚はあれから色んなところに行った。ゲーセンとか、海とか、山とか、ウィンドショッピングで大量に服を買い込むさきに驚いたりとか、遊園地に行った時にお化け屋敷に行ってさきがちょっとまってとか言いながら座り込んで驚いていたりとか色々あった。そして最後の夏休みが終わり、俺達はゲーセンでプリクラを撮った帰りだ。秋葉のゲーセンで撮った。


俺達は歩いていると急に誰かがさきを路地裏に連れ込んだ。俺は急いで後を追いかける。するとそこいたのは渚の時とは比べもものにならないほどの威圧感を持った男達だった。これヤンキーなんかじゃない。明らかに雰囲気が違う。ヤクザか。てことはさきを売るつもりか。


俺はヤクザ達を睨むと、車から金髪のヤンキーみたいな男がでてきた。


「若、このものであっていますか?」


「合っている。うひひこれでさきは俺のものだ」


俺はこのときにはさきがすでに好きだったので俺は男を睨んだ。


「ああ、お前か。一年間契約をしたのは。お金を自由にこっちは使えないからって俺のさきに手を出したのは」


「俺のさきだと!ふざけんなさきは誰のものでもねぇーよ」


「まぁいい、さきはこんなより俺の方がいいよな」


「私は隆元くんといた時間の方が楽しかった!」


「ちっ言わされてるんだな今解放してやるよ。殺れお前ら」


『はっ』


ヤクザ達が一斉に俺に襲いかかる。だがこのときの俺はアドレナリンがでてたのか、いつもよりも動きが素早くなっていた。一人目の男の顔に殴りかかってきたのを避けて股間に蹴りをいれて悶絶させる。その後俺は家にあった本で見た不動金縛りの術を唱え四人ほど動けなくした。左右から殴りかかってきた男は頭を下げて互いのほほにパンチをいれてよろけて壁まで行った。残りの三人は古武術を使い倒した。


「くそっお前ら立ち上がれよ」


「無駄だぞ、ささっとその汚い腕をさきから離せ」


俺は威圧感を出しながら男に迫る。


「さきお前は俺の方がいいよなぁー」


そう言ってナイフを持ってさきに迫る。


「私は隆元くんの方がいい」


「なんだと!思いどおりならないなら死ね」


ナイフを降りかかった。俺は術を唱え一気に加速してさきと男の間に入った。


ぐさ。胸を貫かれた。ああ、思ったよりも短い人生だったが、最後の夏休みは悪くなかった。


俺はどさっと倒れる。


「隆元くん起きて!こんなところで死んじゃやだよ。もっと私たちと青春しようよ」


「俺はどのみち短い人生だったんだ。最後の夏休み楽しかったぞ。あんなに笑ったのは久しぶりだった。さきお前のことが好きだった。幸せになれよ、、、、」


「おいお前何をしている。あれだけ人を殺すのだけは止めろと言ったのに!」


俺はその声を聞いてこの後はこの棟梁みたいな人が何とかしてくれるだろうと思いゆっくりと目を閉じた。



「知らない天井だ。真っ白だし俺は死んだのか?」


「いや生きているよ」


まばゆい光をはっしながら一人の美青年がでてきた。雰囲気からすると神様だろうか。


「じゃーなぜこんな空間に俺を呼び出したんですか?」


「ちょっと話したくてね。どのみち君は手術中だし暇だろうと思ってね」


「はぁー俺と話しても楽しくないですよ」


「君は死ぬと分かっていてもさきといるのを選ぶかい?深くなればなるほど辛くなるのに」


「俺は生きてる間はめっいぱい青春をしようとあのアプリをいれたときから思っていたんです。さきは俺のことを青春の一ページで終わるかもしれませんが。俺にとっては掛け替えのない青春にしたいんです。それに俺は死んでも生まれ変わってまたさきに会いに行きます」


「はは、まさか生まれ変わってまで会いに行くとはね。そんだけ好きなんだね。まあ残りの人生楽しみな。そして僕に楽しみを見せてね」


「見て楽しいものなんですかね。青春って」


「楽しいさ。互いにだんだん引かれあっていくのとか、言葉のキャッチボールとかね。おっともう時間みたいだ。それではよい人生を」


その言葉を聞いておれは視界が黒くなった。


ん?ここは知らない天井だが。多分病院だろう。あの神様の言った感じだと俺は生きてるみたいだし。腹がいてぇわ。後腕に重さを感じる。


俺は横を見るとさきが眠っていた。俺は何日間ぐらい寝てたのかきになりカレンダーを見ると一週間経っていた。めちゃくちゃ眠ってるじゃん。俺あんだけ血をだしたのによく生きてるな。あの神さまが生かしてくれたのかね。青春を見たいって言っていたし。


俺は泣き腫らした顔のさきを見る。心配かけたな。たが俺はいづれ死ぬ。その時もこうやって悲しむのだろう。そう思うと俺は胸が締め付けられるような感覚に陥った。俺はそれをごまかすためにさきの頭を撫でた。


「んぅー隆元くん?」


「そうだぞ隆元だぞー」


「目を覚ましたんだね。今ナースコールするね」


さきはナースコールを押した。そして目に涙を浮かべて俺に抱きついた。矢部石鹸のいい匂いが漂ってくる。俺の理性働けよ。


「隆元くん。ごめんねこんな大ケガさせちゃってあのとき選択を間違えなかったらああはならなかったかもしれないし」


「いやどのみち俺を殺すき満載だから結末は変わらないと思うぞ」


「そうかもしれないけど。後助けてくれてありがとう」


「どういたしまして。あの後どうなったんだ?」


あの組長のような声を最後に聞いたときは安心したが、やっぱりあの人が助けてくれたのか。だったらお礼をいわないとな。


「なんかヤクザの親分の子供だったみたいですぐに救急車を呼んで男は捕まえて今刑務所の中だよ」


やっぱり助けてくれたんだな。まさかあのイカれたやつが組長の息子だとは、ヤクザの息子だから自由にやっていたらあんなになったのか。


「そろそろ組長が見舞いに来ると思うよ」


え?組長来るの。もしかして示談を持ちかけようとしてるのか?だが俺はさきが危ない目にあったんだ。刑務所からしばらくあいつをだすつもりはない。


がらがらドアが開けられる。先生が入ってきたみたいだ。それにしても豪華だなこの病室。


それからどこかおかしいところがないかチェックをして、先生は出ていった。


するとそれと同時に組長が入ってきた。雰囲気あるな。一気に病室がピリピリした雰囲気になる。


「すまなかった。うちの愚息が問題を起こして」


すると組長が頭を下げた。ヤクザのトップなのに頭を下げることからすまなかったという気持ちが伝わってくる。この感じだと示談にはならなそうだな。


「お金についてだが、示談という形ではなく普通に慰謝料として払わせていただく。勝手に調べさせてもらったが、親はいないらしいな」


「はい、一年前に亡くなりました」


「それで家政婦をうちからだしたいと思っているんだがどうだ?」


「大丈夫ですよ。そこまでしなくても。ここのお金も払ってくれてるんですよね?」


「そうだな。ならせせめて何かあったら俺を呼んでくれ」


そう言ってラインのバーコードを見せてきた。俺は携帯をさきにとってもらい登録した。ヤクザなのにアイドルが待受なんだな。この人とは気が合いそうだ。


「お願いがあるんですが、さきにこいうことが又起きないとも限らないので俺が退院するまで守ってくれませんか?」


「分かった。何人か護衛につけておこう。隆元にも退院したらつけるか?」


「いや俺はいいですよ。人に見られながら生活するのはあまり好きじゃないので」


「そうか、何かあったら連絡しろよ。どこでも駆けつけてやる。子分を連れて」


ヤクザが味方につくのはでかいな。これからの厄介後とも回避できるかもしれない。


「じゃーこれ以上二人の仲を邪魔するのもあれだかから帰るわ」


そう言うと病室を出ていった。二人の仲って付き合っていると勘違いしてないか?さきの方を見ると顔を赤くしている。そんなに嫌だったか?ごめんなこんなのが彼氏だと思われて。


「嫌じゃないよ。むしろ嬉しかったよ」


なぜか心の中を読まれていた。そんなに分かりやすいかな?


「嫌じゃないならいいが」


それから俺はリンゴをあーんして食べさせてもらいながら充実した日を過ごした。












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