第95話
いよいよ待ちに待った文化祭当日だ。文化祭は二日間あるがどちらも一般客は、来ることはできる。さてどんな演技を見せてくれるか楽しみだ。俺達は当日の準備があるので早めに来ている。朝の六時ぐらいだ。
「え?森田休みなのか。どうするんだよ。台詞覚えてる奴なんていないぞ」
は?森田休みなのか。おいどうするんだよ。台詞覚えているのは俺含め森田と二人だけだ。それに演技の練習だって誰もしていない。これは喫茶店だけやるしかないか。おれのかいたしょうせつのうりあげはあがらない俺の書いた小説の売り上げは上がらないが仕方がない。
「台詞覚えてる人ならいるでしょ。ね、正弘くん」
すると一斉にクラスメイトが俺のことを見た。いやいや演技なんてやったことないのにそんなぶっつけ本番でやるなんて無理だ。俺の演技力は未知数。おまけに俺は前髪長いからカッコ良くはない。陰キャに見えるだろうし。主人公という重大な役はできない。
「仕方がない。尾関にやってもらうか。しかし髪はどうする?」
「それなら私の知り合いが髪を切るの得意だから頼んでみるよ。多分楽しみすぎてもう起きてると思うし」
「大体なん分ぐらいて来れる?」
「41分ぐらいだと思うよ」
「ならその人に髪は切ってもらおう」
なんかどんどんやる方向で決まっているんだが。人前に立って演技するなんて無理だぞ。中学の時の部活の意気込み表明でも噛み噛みになるくらいだぞ。人まで演技なんてしたら恥をかくだけだ。俺は断ろうと監督をやっていた奴に話しかけようとすると美海がめをうるうるしながらやってお願いなんて言われて俺は分かったと落ちた。だって仕方ないだろ。好きな人上目遣いでめを得る売るされてお願いされたんだぞ無理と言う方が無茶だ。
「とりあえずリハーサルを簡単にやろう。その人が来るまで」
俺は小説中の主人公をイメージしそれが憑依した感じをイメージする。俺は隆元だ。プロの作家でいつも一人で青春を謳歌するもの良くだけ散れと思っていた。
「とりあえずやってみてくれ」
森田の声が冒頭に流れる。俺はそこは上を向きながら哀愁感を漂わせる。ああ、何て俺には友達の一人もできないのだろう。やっぱりなに考えてるか分からないからか。俺はあるサイトを発見する。青春代行どうせ死ぬなら騙されたと思って使ってみるか。ここから物語が始まるとはこのときの俺は思っていなかった。
それから中盤まで演技をしてクラスメイトの友達が到着した。
「お待たせ~。って正弘くんじゃん」
なんと来たのは雪穂だった。まさか雪穂が来るとは。たしか雪穂の母親は美容師と言っていたな。その関係で髪を切ることができるのだろう。手先器用そうだし。
「知り合いなのね。とりあえず尾関の髪を切ってくれない?」
「分かったよ~。正弘くん貸し1ね」
貸しができても恐らくデートしよとかそのぐらいのレベルだがら気にしない。俺は椅子に座って緊張した面持ちで髪が切られるのを待った。緊張なんでするかって?そんなの同級生に髪を触られるんだぞ緊張するに決まっているだろう。だって女子の手ってすべすべでいい感触がするし。
バサバサと雪穂は切っていく。前髪は慎重に切っているように感じる。前髪で印象は大分変わるからな。俺の髪が新聞に落ちていく。そして20分ぐらい経つと切り終り眉毛を整えた。
「さすが私~。結構イケメンになったよ~」
俺は鏡をみる。やっぱり前髪を切るとそれなりのイケメンにはなれるな。回りのみんなはビックリしているが、斉藤はこれなら森田に以上のイケメンだと言って興奮している。まぁ森田はそもそもイケメンじゃない。あいつは性格でかなりモテてるからな。
「ありがとな、雪穂」
「どういたしまして~。まぁ褒美楽しみにしておくよ~」
そう言うと雪穂は視聴覚室を出ていった。恐らく近くのイトヨーカードで時間を潰すのだろう。何人かのクラスメイトは俺と雪穂が親しく話してることに恨めまがしい目を向けている。
「イケメンだから美少女と仲良くしてるのに文句を言っても嫉妬にしか聞こえねぇーからなにもいえねぇー」
なにかクラスメイトが言っているか聞こえない。まぁなんであんな美少女があんな奴に知り合いにいるんだよとかそんなことを言っているのだろう。
「さて続きをやるぞ」
斉藤の掛け声で続きをやることにした。俺はもう一回スイッチをいれて俺は隆元だと思いコンテ演技を始めた。声優を目指していたから声はちゃんと演技はできてるはずだ。仕草は分からないが。斉藤をみると特になにか言いたいことはなさそうなので問題はないのだろう。
やがてリハーサルが終り俺達が演劇するのは午前中の10時30分ぐらいなのでそれまで俺は台本を読んでいた。台詞を覚えてるって言っても完全じゃないからな。ちょくちょく忘れてアドリブでリハーサルはやったしな。
俺は30分ぐらい台本を読み込み覚えた。俺は記憶力は悪くないからな。文系科目では俺は成績上位にはいるし。まぁ大体の流れや重要な箇所は覚えてたっていうのもあるんだが。
「台詞覚えたみたいだね。無理言ってごめんね正弘くん」
「いや大丈夫だぞ」
美海はどたばたしている演劇の裏方の人たちを見ながら、女優もやらないかということも声優のスカウトしていた人に言われたのと言った。美海のルックスならそこら辺の女優には負けないだろう。
「それで今回の演劇で女優としてやっていける見るから梨々香さんが来るの。だからなんとしてもうまくやりたかったんだー」
やれるかどうかためしに見に来るのか。それは主人公がいないの出てきませんでしたじゃダメだよな。美海は女優もやりたいんだな。元々アイドルに憧れていたなら女優に憧れていてもおかしくはない。アイドルは女優をやることも多いし。美海は声優でもアイドル路線でいきたいのだろう。
「そうか、なら俺は隆元になりきって頑張るよ」
この劇は女優としてやれるかどうかの美海の人生がかかっている。だからなんとしても成功させる。俺にメリットはあるしな。うまくいけば本が売れるし。俺は改めて気合いをいれて雑念を払った。
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