第89話

「いくよー。命短し恋せよ乙女だー」


二曲目は知らない歌だが可愛らしいメロデイだ。はーちゃんの声にあった歌に感じた。なかなか可愛い曲だな。楽しそうにはーちゃんは笑顔で歌っている。サビにはいると観客が盛り上がっている。俺もパンパンと手を叩きながらリズムを取る。


曲が終わり、はーちゃんはにぱーとした笑顔になりありがとうと言って舞台袖に帰っていく。

東葛高校の生徒ははーちゃんの正体を知っているのか、ものすごい声援を送っている。


さて文化祭ももう終わりか、なかなか楽しかった。他校の文化祭に行くのは中学生の時以来だが、楽しかったな。俺たちの文化祭もこんなに盛り上がるといいな。


「んじゃ帰るか」


「そうだね、菅井さんまた今度ね」


「またね~、次は正弘くんの文化祭時かな」


「またな。俺達もいいものを見せてやるよ」


「あ、待って、サイン持ってきたから私のクラスに来て」


あーそう言えば細川にゆっかーのサインを書いてくれってお願いしたわ。ちなみに俺はるんのサインをほしいとは思ってないがるんか使っているものはほしいと思っている。あとチェキとかほしい。


「分かった。じゃークラスに行くか」


俺達は菅井のクラスに向かう。あ、そう言えばあの幽霊がいるクラスに近寄るなと言っておかなければいけないな。あの幽霊は可愛い女子に嫉妬している幽霊だ。だから美少女が行くとなにかをやらかす可能性がある。


「あのお化け屋敷やっているクラスあるだろう。あそこには近づくな」


「あー、あれねー幽霊がいるんだよね~」


菅井も見えるのか、だとしたら気鬱だったようたな。どこまで菅井は幽霊が見えるのだろう。

俺はくっきりと顔までみれて声まで聞こえるレベル。だから幼少の頃はよく生きてる人間と間違えて話しかけていたりしていた。最近は幽霊をみたらできるだけ近寄らないようにしてるが。祓わないのか不思議に思っているかもしれないが、道端や公共の場で儀式をしたらただの変な奴だろう?だからやらないのだ。やばいのはそこの所有者に言って神主に来てもらうように言っているが。


「知っているならいいが」


「あれは危険だからね~。あまり長くい過ぎると生徒に危害が出るよね~」


危険性も分かってるようだ。てことは悪霊かどうかの判断もできるってことだ。まぁあのくらいの悪霊ならそこら辺にもいるから自衛の手段を持ってるだろう。視えるってことは対策ももちろんしてるってことだろうしな。


「まぁ明日には祓うって言っていたから大丈夫だろ」


力がある神主ならあれくらいなら簡単に祓えるだろう。だが祓わないと、長く居続けると他の幽霊も引き寄せられて厄介になるが。幽霊と同じ空間にいるって視えない人からすると恐怖でしかないからちゃんと明日には祓うだろう。


「正弘くん言ったんだね~。私は文化祭の間は言わない方がいいかなと思って言わなかったんだ~」


「それで正解だろう。最悪クラスの出し物ができなくなるし。お化け屋敷だから余計に」


「むぅ~なんか分かりあっていって悔しいよー」


「分かりあっているか。まぁ視える人はあんまいないからその辺は分かり合えるだろうが、視えない方がいいぞ。厄介ごとに巻き込まれるし」


「それでもなんか自分の知らない世界を話していると悔しいものだよ」


そいうものか、ある程度好意はもってくれてるから余計にか。まぁでも本当に視えていいことはあんまりないからなー。こっちが視えてることが分かると色々な思惑があって近づいてくるし。悪戯されることもしょっちゅうだ。特に女子高生ぐらいの幽霊とか。


「まぁ俺も美海がみてる世界をみてみたいと思うこともあるから分かんなくはない」


幽霊みたいのがうろうろしてるんじゃなくてちゃんとした景色をみたいと思うし。幽霊は大抵どこにでもいる。事故死した幽霊はからだがぐちゃぐちゃになっているからなれるまでは吐き気をもよおしていたな。


「幽霊ってどんな感じなの?」


「死んだ時によりけりだな。事故死だと死んだときの姿だったり、自殺はひたすら自殺を繰り返していたり、病死とかはその辺をさ迷っている感じだな。他殺はすごい怨念をばらまいてることが多いな」


他殺の時はできるだけ俺は関わらないようにしてる。他殺で死んだ場合だと世界とか人間を恨んでいるからこっちにも被害が来るからだ。ちなみにお化け屋敷でみた幽霊はこのタイプだ。


「着いたよ~」


クラスに着いたらしい。菅井のクラスメイトは片付けをしている。何人かのクラスメイトは俺と美海をみて嫉妬の視線を送ってきている。まぁ美少女だから仕方ないが。俺みたいのがつり合わないから嫉妬をしてるのだろう。


菅井はバックのおいてある場所にいった。少しだけ時間がたって、サインと鉛筆と写真を持ってきた。


「これサインと、るんちゃんの使っていた鉛筆とメッセージつきのチェキだよ~」


まじかるんの使っていたものをもらえるだけでもありがたいのにチェキまでもらえるとは最高かよ。しかも名前までいれて勉強頑張ってて書いてある。


「あーこれ長濱さんのもあるよ~」


「なーこのチェキついたサインだよ。これレアな私服だよ。嬉しいなー。ありがとう菅井さん」


「ありがとな、これ家宝にするわ」


「そんなに好きなんだね~。少しはその好意を私に向けてくれると嬉しいだけどな~」


「俺の好きな人は分かっているだろう?それにるんはファンとして好きだ」


美海は俺の好きな人と聞いた瞬間にびくんとした。俺の好きな人が気になるのか?まぁ言えないんだけど。いつかはこの思いを伝えたいが。だがまだ先のことだ。高校卒業するまでに告白はするが。


「そうなんだね~。まぁこれから振り向いてくれるように頑張るね~」


そのアピールは無駄に終わるかもしれないがな。俺の好きな人は美海以外あり得ないからだ。美海はまさにルックス以外は俺の理想だ。

あくまでタイプじゃないだけて美海のことはるんの次に美少女だと思っている。アイドルになったら人気になるだろう。俺はそんなことを思っていた。






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