御披露目?どうしてこうなった!?

レオン将軍の言葉に魔王バアルが頷き、同意しつつ話した。


「レオン将軍の言う事は正しいだろう。だから俺は人間達が一致団結しないように、今まで立ち回っていた。しかし、そうも言っていられない事情ができたのだ」


リリスなど他の重鎮達は大人しく魔王バアルの言葉を聞いていたが、痺れを切らしたマモンが机を叩いて吠えた。


「だからいったい何があったのか話せ!貴様らしくもない!」


バアルは少し間を置いて話した。


「………本来は秘密にするか迷ったが、あえて話すことにした。当面はこの事実を他の者に話す事を禁ずる。マモン、貴様も誓ってもらうぞ!」


魔王バアルは魔王たらん殺気と魔力を高めて威圧を強めた。


「くっ…………その内容によるぞ」

「ああ、それでいい」


バアルは視線を外に向けると、メイドがバアルの赤ちゃんを連れてきた。


「おおっ!あれが御主の子供かのぅ!」

「ああ、我が娘『シオン』と名付けた。そして、娘の手を見るといい」


集まった重鎮達はシオンを見つめた。


ポアンッ


シオンの右手の甲が光輝いた。


!?


「ば、バカな!?これは………」

「あ、ありえん!?『女神の加護』じゃと!」


ざわざわ!!!

ざわざわ!!!


「これが緊急事態の案件だ」


魔王バアルの言葉に、周囲の者達はどうして魔王ともあろう者がなかなか切り出さなかったのか理解したのだった。


「ふ、ふははははっ!素晴らしい!確かにこの子供が大きくなるまでは動けんな!」

「しかし、これは予想外過ぎるのぅ………」


「人間に味方する女神ネメシスの加護が、魔族に付くなど、女神ネメシスも人間をみかぎったのか?」

「そこまではわからん!しかし、この産まれたばかりの状態で、魔力が我々と同等にある。この先まだまだ伸びるだろう」


「そこまでなのか………」


一通り確認が済むとバアルは静かに言った。


「いずれ、我が娘を旗印にして人間達へ宣戦布告をする。今しばらくは兵力の増加と内政に力を入れて欲しい」


「それはかまわんが、人間達が先に動いたらどうする?」

「それはこちらで対処しよう。これからは今までのように、先の見えない対応ではなく、次に繋げる対策をしていく!」


魔王の力強い言葉に、揺るぎない意志を見た魔族達は深く頭を下げるのだった。



そしてシオンは─


『………いきなり多くの魔族達にバレとんがな!?』


女神様~恨みますよ~

どうしてこうなったの~

しかも、人間を滅ぼすとか言っているし~

なんとかならないかな~


シオンはこれからの生活に不安を覚えるのであった。


どうしてこうなった!?





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