正義と信じて遂行していた数々の行いは、時の権力者の片棒を担いでいるに過ぎなかった…強大な権力に翻弄される純粋なエクセキアスの苦悩と過酷な運命が、苦しいほど伝わって来ました。
ちぎられかけた腕が再生する奇跡のシーンに「気持ち悪ぃ…」の一言など、意表を突いた台詞まわしが絶妙で、緊迫した中にもふっと面白みを感じてしまう、今までにない読み心地を味わいました。
相容れない筈だった少女との問答の果てにたどり着いたエクセキアスの真の答え。重厚で深い読後感に感銘を受けた作品でした。

聖書も色々と奥が深いですね……そも魔術と奇跡の違いとは何ぞや、とか。
いや、根源的なモノが違うとかはありましょうが、目に見える部分は神ならぬ身には判別が付くのだろうかと。
今も昔も神を騙るペテン師が跳梁跋扈する原因の一つではありますな。

ひとつ気になったのですが、タイトルの"イコノクラムス"が偶像破壊を指しているとすれば、"iconoclasm"="イコノクラスム"(最後の2文字が逆)ではなかろうかと思ったり。
私の勘違いで他意があれば聞き流して下さいませ。