前回までのあらすじ(完全ネタバレ)

 ※注

 十二部までのあらすじです。

 物語の最初から読みたいかたには、おすすめしません。とりあえず、最後の巻だけ読みたい人用のダイジェストとして置いておきます。



 長身イケメンだが、ごくふつうに大学生活を送っていた龍郎は、ある日、電車のなかでものすごい美女に出会う。

 その直後からトランクを持つ男が人を喰うさまや、兄嫁が人間ではないことを知るなど、日常からかけ離れた怪異に遭遇する。


 美女と思われたのは、じつは美青年で、八重咲青蘭やえざきせいらと名乗った。

 龍郎は青蘭に雇われ、オカルト専門の探偵の助手となることに。


 さまざまな怪事件を解決するうちに、龍郎自身も霊を見たり、悪魔を退治することができるようになる。それは二十歳のときに祖母にもらった玉が右手のなかに入りこんでしまったせいだった。


 この玉は苦痛の玉と言い、もともとは天界のものであったという。

 この玉に呼応する快楽の玉を青蘭は体内に宿していた。さらには青蘭の体内には、アンドロマリウスとアスモデウスという二柱の魔王が憑依している。青蘭はアンドロマリウスを呼びだし、自身の体の一部を渡すことで悪魔を退治していた。


 二つの玉が重なると命の玉となり、何かしら、とてつもないことが起こるらしい。そのせいか、快楽の玉を持つ青蘭はしばしば悪魔に狙われた。


 玉の秘密をさぐるために、青蘭は決心し、少年期をすごした孤島にある診療所へむかう。

 青蘭は五歳のときに住んでいた屋敷が全焼し、家族を亡くし、自身もひどい火傷を負った。そのあと治療のために入院していた診療所だ。


 しかし、その診療所はかつて、アンドロマリウスの実験場だった。アンドロマリウスは天使のころのアスモデウスに惹かれ、アスモデウスの遺体を保管するなどしていた。実験室もアスモデウスを復活させるためのもののようだ。


 その島で、龍郎たちは青蘭の過去の記憶が作りだす結界のなかへ入りこみ、青蘭の秘密を知ることになる。青蘭はアスモデウスの魂の生まれ変わりであり、その肉体はアンドロマリウスの細胞をもちいて造られた人造天使だった。


 それでも、青蘭を愛する龍郎の気持ちはゆらがなかった。何度も告白するたびに拒絶されていたが、ようやく、龍郎の本心が伝わり、二人は結ばれる。


 だが、その直後、青蘭はルリム=シャイコースにさらわれた。青蘭を救出するために、龍郎はルリム=シャイコースの世界へ赴き、王女のルリムと協力して、女王を打ち倒す。ルリムは龍郎に横恋慕しているらしく、のちに重大な選択を龍郎に迫ることとなる。


 その後もツァトゥグア、マイノグーラ、クトゥルフなどの邪神やソロモン72柱の悪魔などとも戦ううち、青蘭はアスモデウスのころの記憶をしだいにとりもどす。


 苦痛の玉、快楽の玉がもとは天使の心臓だったこと。快楽の玉はアスモデウスの心臓であり、苦痛の玉はアスモデウスの恋人のものだったことなどを。


 天使のころ、アスモデウスには恋人がいた。大天使ミカエルだ。戦場の英雄とも呼ばれた勇ましい戦士だった。

 当時、天使軍は邪神と争っていた。次々、武勲をあげるミカエルの心臓は、多くの魔力を吸収していた。天使の心臓は退治した相手の魔力を吸いとることで、転生のための力をたくわえるのだ。そして、つがいとなった相手の天使の心臓と重なることで、天使の卵となる。卵からは両親のうち一方の魂を持つ者が再生することが普通だ。


 アスモデウスはミカエルとつがいになることを約束していた。しかし、戦勝の宴のなか、ミカエルは何者かに殺され、その心臓はえぐりだされてしまった。


 絶望したアスモデウスは天界から、苦痛の玉を盗みだし、その罰で堕天させられたという。


 また、龍郎も苦痛の玉を介して、それらを霊視した。青蘭がほんとに愛しているのは自分ではなく、ミカエルの心臓ではないかと思い悩む。


 そんななか、青蘭に実の兄がいることが判明。じつはアンドロマリウスの実験場で生まれた失敗作だった。兄アルバートによって、青蘭は快楽の玉を奪われ、魂を三重の結界になった箱のなかに囚われる。その強力な結界をやぶるために、龍郎はルリムの助力を求めた。だが、その代償として、苦痛の玉、快楽の玉、龍郎自身のうちいずれか一つを渡すという契約をかわす。


 この三択を聞いた青蘭は、龍郎が自分と一つになりたいわけではないのだと誤解し、異郷の地で行方不明に。


 ようやく、ドイツの古城で再会し、クトゥルフの魔手から救いだしたものの、龍郎はルリムから三択を迫られ、龍郎自身を渡すと決断する。そのかわり、苦痛の玉をカケラを持つ恋敵のフレデリック神父に手渡し、自身は戦う力を失った……はずだった。


 青蘭に別れを告げ、一人になった龍郎。そのころ、世界中で火の玉が人間を燃やすという怪奇現象が目撃され、龍郎の身のまわりでもそれが起こる。それは邪神たちの封印を解くひきがねになるという、アフーム=ザーを探す火の精たちの仕業だった。


 アフーム=ザーの覚醒を止めることができず、クトゥグア召喚のための生贄にされる龍郎。

 それを知った青蘭は、やはり自分が愛しているのはミカエルではなく、龍郎だと確信する。龍郎を救出するために、儀式の場に乱入した青蘭は、大きな犠牲を払って、クトゥグアを滅却する——

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