不機嫌なゾラ
初夏の風が心地よい夜だった。月の光が眠りについた早咲きのバラを照らす、誰もがほっとするような一日の終わり。
それなのに、子猫のゾラはベッドの中でふくれっ面をしていた。
「もう! 早く寝なさい」
そう叱ったくせに、パパもママも、まだリビングで起きている。どうして自分だけ叱られて、どうして大人は起きているんだろう。
納得いかないゾラは、もやもやした頭で何度も寝返りを打っていた。
そのうち、今度はお腹がもやもやしてきて、ゾラは慌ててトイレに駆け込んだ。
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