(四)-4

 私は部室に寄ってから、教室に入った。するとそこではすでに「三者」が面談していた。そう、担任の掖上わきがみ先生とママと「ママ」がいたのだ。

 ママと「ママ」は、親権のことであれこれ言い合っているようだった。普通なら子どもの親権は手放したくないと思うのではなかろうかと思うのだが、うちの両親の場合、両方とも手放したがっているのだ。それぞれお互いに自分の人生を生きたい、全うしたいと考えているらしい。だから「あんたが来るならそう言いなさいよ」「それはこっちのセリフだよ」と言い合いになっていたのだ。

 なだめる立場になった先生も困り果てていたみたいで、教室に入ってきた私を見ると「やっときたか!」と嬉しそうな声を上げて立ち上がった。


(続く)

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