(三)-3

 そのうちの片方の人が「こんにちは」と声をかけてきた。

 「どうぞお入り下さい」と言って二人は私が乗ってきたエレベーターに乗り込んでしまった。

 私は言われるまま、中に入った。

 中に入ると、奥から背が低く裾の長いニットを着た女性が小走りにやってきて「何かご用ですか」と聞いてきた。

「母……、北宇智シズミ……ではなくて、双海ふたみヤマトはいますか」

 私がそういうと、「社長の娘さんですか?」と聞かれた。


 「そうです」と私が答えると、女性は私を奥に案内してくれた。奥にはガラス張りに区切られた会議スペースがあり、そこに通された。


(続く)

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