合言葉は上上下下左右左右!
そうだ! ゲーマー同士なんだからゲームで勝負すればいいじゃんかよ! よし、コレならいける。
「皆、ちょっと聞いて欲しいんだ!
奏太がどうしても俺達と一緒に着いてきたいなら、この俺とゲームで勝負して勝てたらお前を連れていく事にするよ。それでどうかな?」
「律君がいいなら、私はそれでいいよ!」
「僕も異論はない」
「わかったッス! で、どのゲームやるんすか?」
「そうだな……。さっき、
「了解ッス!」
決まりだ! 奏太がやっていたゲームは確か桃から生まれた勇者ポンコツ太郎の物語だったよな。このゲームは無駄にボスが強すぎので有名なヤツなんだよな。けど、強すぎるには理由があるんだけどね!
「奏太、俺から先にやるけど良いよね?」
「問題ないッス!」
「律君頑張ってね」
「僕は音ゲーのイメトレするら、終わったら呼んで」
悠音は応援してくれないんかい?!
詩だけだよ俺を応援してくれる心の優しい仲間は……。ほら、今嬉しくて涙が零れ落ちたよ。
おっといけない、ゲームが始まったから集中しなくちゃ!
昔むかしあるとこにお爺さんとお婆さんがいました。お爺さんとお婆さんには桃から生まれたポンコツ太郎と愛犬の喋るコタロウと一緒に暮していました。
そうそう、こんなストーリーだったよな。だんだん思い出してきたぞ!
ポンコツ太郎のポンコツはあまりにも村で有名だった為、お爺さんとお婆さんは愛犬コタロウにポンコツ太郎を更生させるよう頼まれました。
「ここはコタロウはポンコツ太郎を更生させないを選択するっと」
「あっ、何でポンコツ太郎を更生させないんッスか?!」
そう、普通ならここでポンコツ太郎をコタロウが更生させるのが一番いいのだが、そうすると普通のサルとキジしか仲間にならないからボス戦が大変になるんだよな……。
「いいか
「ゴッドモンキーとフェニックスが仲間に?! それは知らなかったッス」
「そうだろそうだろ! 俺もこのルートに行く前でかなりの時間を費やしたもんだ。ほら、見てろよ。この最強の仲間とポンコツ太郎が力を合わせるとボスが簡単に倒せるんだよ。奏太、クリアした俺の律という名前を頭に刻んでおけよ」
「親友の僕としても最後の名を刻んでおけは流石にダサいと思う」
「律君、私もそれはかっこ悪いと思う」
「だって俺ゲーム以外の見せ場がないんだよ! ちょっとくらい俺の見せ場があったっていいじゃないか」
「確かに……」
詩も悠音もあっさりと頷きやがって……。皆は見せ場があるからいいけどさ、俺だけが何も見せ場がない事をいち早く気づき、ここぞとばかりに見せつけて何が悪いというのだ……。
色々と泣きたくなってきたけど、
「いいか奏太! このゲームはありのままの自分を受け入れるって事が鍵なんだ。旅立ちの時は皆変わる事を求めがちだけど、ポンコツ太郎はどこまで行ってもポンコツ太郎である事に変わりない。
無理して環境や人間関係を合わせる必要はない。無理するから愛犬のコタロウも弱いままだし、普通のサルとキジしか仲間にならないだよ。
でも、ポンコツ太郎がありのままの自分を受け入れ愛する事で愛犬から相棒にコタロウが変わり、ゴッドモンキーとフェニックスが仲間になるという仕組みだ。
これは、ダメな自分も弱い心も丸ごと全部抱えて良いんだよっというゲーム開発者さんの有難いメッセージが込められているゲームなんだ」
「そんな深い意味があったなんてマジ感動……。そこまで深読み出来る律さんマジかっこいいッス!」
そうだろそうだろ……。
奏太から尊敬と憧れの眼差し向けられている感じがするよ。これだよ、俺が忘れていた感情は! そういえば、なんで奏太とゲームする流れになったんだろう?忘れちゃったから、もうどうでも良くなってきた。
ゲーマー同士例え相手がゾンビであっても何か通じるものがやっぱりあるんだな。
「他にクリア出来てないゲームはあるか? この俺がお救いさせて上げよう」
「本当ッスか?! 」
その後俺達は時間を忘れるほどゲームに没頭し、次々とクリアをしっていった。クリアする度に俺と奏太はハイタッチし絆を深めた。
「何時までゲームするつもりなの君達は?」
「いや、詩さん……。まだそのゲームセーブしてなくてですね……」
「詩さん鬼怖いッスよ……」
「そう、
ポチッ!
急に真っ暗になる画面、電源の供給を絶たれたゲーム機は静かに鼓動を止め俺達は絶望した。この世界の何処にもゲーマーが幸せに送れる日々なんて何処にもない。ならば…………。
「奏太絶望の淵から立ち上がるんだ! 俺達に絶望している暇は無いんだ。全てのゲーマー達が幸せにゲームをプレイ出来る日々を俺達が取り戻すんだ!」
「ハイっす」
「何か違う気がするのは気のせいかな? 私そんなにまずい事したんだろか?」
「ようやく行くのか! 僕の音ゲーのイメトレは今完璧に仕上がった」
俺達はそれぞれの思いを抱えながら、隠し通路から外へと出た。
通路から繋がっていた先は、何処かの路地裏通りにある物置き場みたいな場所だった。思った場所と違ってたから、俺はちょっとびっくりした。
「うわっ! 外出るの久しぶり過ぎて急になんだか帰りたくなってきたッス」
「あの時の勢いはどうしたんだよ?!」
「いやぁー、つい勢いに任せて言いたくなる事だってあるッスよ!」
「
「律さん……」
俺達は一様外に出たけど、近くに凶暴そうなゾンビはいないみたいで安心した。いや、仲間のゾンビいるけど一様数には入は入れてませんからね。だって、俺の仲間だしね!
「律様、私ガチョット目ヲ離シタ隙ニマタゾンビト仲良クナッテ……」
「いや、これにはだな色々と事情があって……」
「ソレヨリ場所ガ分カリマシタ。場所ハ街ノ端ッコデ、海ガ見渡セル場所デス」
いよいよ研究施設に行くのか!
何かちょっとドキドキしてきちゃったけど、この仲間達と一緒なら何処へ行ことも不思議と大丈夫な気がしてきた。
「おーいみんな! 研究施設の場所わかったから行くぞ」
「律さん、研究施設にはお菓子ありますか?」
「奏太、俺の親友の律に気安く話しかけるな! まず律に話しかけるにはこの僕をとお……」
「で、律君どっちに行くの? 右それとも左?」
「右だ!」
「イイエ違イマス。左デス」
あれ? 皆が不安そうな顔でこっちを見てくるぞ! ここはもう一度ビシッと決めないとな……。
「その後真っ直ぐ行けばいいんだろ?」
「イイエ、左二曲ガリマス」
「なんだって!?」
今までだいたい一本道だったから、気づかなかったけど……。いや、そんな事はないはずだ。
「律君もしかして地図読めない系なの?」
「ちょっとがっかりッス……」
「僕、行き先が急に不安になってきた」
「ちょっと皆、地図は読むものじゃないだ! 心で感じるものなんだよ」
どうしよう……。
皆がますます俺の事を不安そうな顔でこっちを見てくるよ。しかも
俺は断じて間違った事言ってないぞ!
だって、地図は心の目で見れば行き先がわかるって教わったんだもん?!
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