第1章(人間とお友達 覚醒編)
最悪なゲームがスタート
「うわぁぁぁ……!!
今までで一番酷い夢をみたよ。なんでよりによって、俺の人生を走馬灯のように見なくちゃいけないんだよ。もう一回寝直そう……」
あれ? ちょっと待てよ……ここはどこだ?
俺はお布団の中にもう潜り込みしばらく考えてみた。そういえば、一瞬だったけどお外にいたような気がしたのはきのせいか?
外……いやいや、外なんてないない。
ここは、俺の部屋だ!
自分の部屋を忘れるはずないし、外とで寝た覚えもないから何かの間違えだ! 間違えの筈なのに、気になって全然眠れない。
俺は勇気を出してお布団から顔を出す事にした。布団から見た景色は、今までに見たことのないほどの澄みきった青い空がどこまでも広がっていた。ただ、回りにコンテナさえ置いてなければ最高な場所なんだけどな。
「あぁ.....こんな綺麗な空見たことないや。やっぱり、まだ夢めから覚めてなかったんだな。という訳で、おやすみなさい……」
…………あれ?
眠たのに全然まったく眠れないのは何故だ?
わかった、きっとあの変な音のせいだ!
布団の中に入っても聞こえてくる、異様な叫び声と銃声の音が俺の部屋の中で響いて全々寝付けないんだ!
でも、なんで俺の部屋から聞こえてくるんだ?
「本当にココって俺の部屋だよね……?」
「イイエ、違イマス」
「んっ!?」
急に頭の中で聞き覚えのない声が響いてきた。だ、誰だ!? 心の中で叫んでみたけど返事は返ってこない。俺の勘違いだったのか?
でも、あの機械なような冷たい声の正体が気になる。よし、もう一度あの声の正体を確かめてみよう! 今度は周りの人に聞こえるように俺は声に出して言ってみた。
「誰れかいるのか?」
「オハヨウゴザイマス。ヨウコソ、ゾンビゲームノ世界へ。ワタクシ……」
「えっ!! ちょっと待って、今ゾンビゲームって言わなかった?」
「ハイ、言イマシタ」
「ムリムりムり……」
絶対、無理!
だって、自分の部屋でゲームしようとしただけだよ。そもそもゾンビゲームって、俺が遊びたかったゲームはキャンハンだよ。
あれ、ちょっと待ってよ……。
ここはゲームの世界の筈なのに、どうして俺の意識がはっきりあるんだ? これって、ひょっとしてもしかしですけど、ここは現実のゾンビゲームの世界とか……?
いやいや、絶対におかしいでしょ。
転生するならもうちょっと、こうスローライフ的なほのぼの系ならまだしも、ゾンビゲームってなんなんだよ!
って、転生とか俺何言っちゃってるんだ? そんな事あるはずがない。
だって、そしたら俺は向こうの世界で死んだって事になるじゃん!
「死んだのか俺……?」
「心音、心拍数トモニ正常デス」
「いや、そういう事じゃなくて」
やっぱり、疲れてるんだ!
だから、今流行りの異世界転生なんて変な夢見てるんだな。38歳の疲れきったおっさんの顔が目に浮んでくる。
俺は自分の顔を労るよう手でさすった。
あれ、顔が髭もじゃじゃない!?
そういえば、いつもより顔がピチピチしてて、声もなんだか若くなったような気がするのは何故だろう?
「改めて聞くけど、俺38歳のおっさんだよな?」
「イイエ、違イマス。推定年齢15歳ノ少年デス」
「15歳!?」
俺は、急いで自分の姿が映る鏡のような物を探した。見つけた! 水溜まりに映った自分の顔を恐る恐る覗いてみた。
そこに映っていたのは、どっからどう見ても15歳の少年だった。
「これが、俺……?」
じゃあやっぱり俺、ゾンビゲームの世界に異世界転生しちゃったのかよ?!
「容姿ハ、真ン中ノ中デス」
「はぁ!?」
むかついてきた!
どこが容姿は真ん中くらいだよ。どっからどう見てもめちゃくちゃイケメンじゃん。それに、男の俺でも惚れちゃうくらいイケメンだよ。まったく羨ましい限りだよ。本当、俺の容姿を引き継いでくれなくて良かった。
やっぱりイケメン、最高だな!
そういえば、さっきから俺の頭の中で話しかけてくるのは一体何者なんだ?
俺の心の中までは一様わからないようだけど……。本当にわからないよね、俺の心の中。ちょっと、心配になってきたから聞いてみよう!
「お前、一体誰なんだよ」
「申シ遅レマシタ。ワタシハ、人類ヲ救済シ、導クタメニ創ラレタ人工知能AIデス。本体ハ、左腕ノ時計型コンピュータ二搭載 サレテイマス。音声ハ、骨伝導 ネックレススピーカーニテオ届ケシテイマス。
呼ビ出シ時ハ、カーチャントオ呼ビ下サイ」
「人類を救済? AI?
情報が色々と多すぎてわからん。しかも、なんで呼びたしの名前がよりによってカーちゃんなんだよ」
呼び出す度にカーちゃんって恥ずかしすぎるだろう。俺、中身はおっさんだけど一様お年頃の少年だよ。
「次イデニ、ソコ二置イテアッタカレーヲスキャンシテオキマシ!」
「お母さん度ますからやめてっ!!」
そもそも、なんで俺が嫌いなゾンビゲームにわざわざ転生しなくちゃいけないんだよ……。
ハッ! まさか、世界が俺の事を必要としているのか?! だから、このゾンビゲームの世界に神様は転生させ、このゲームの主人公として世界を救い平和を齎す。それなら納得がいくぞ!
俺しかこの世界は救えない。ならば、謹んで主人公の役目を果たそうじゃありませんか!
「世界の皆さんお待たせしました。この物語の主人公の俺が、ゾンビのいる世界から皆さんをお救いします!」
よし、完璧に決まった!
「ソウイエバ言イ忘レタ事ガアリマシタ。
「えぇぇぇぇ!?」
えっ、あの人今俺の事主人公じゃないとか言わなかった?
嘘でしょ! 嫌いなゾンビゲームに転生したのに主人公じゃないなんて、そんな事ありえるのかよ?!
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