第48話 脱出と報告
祐樹達は25階層まで引き返して脱出用の魔法陣を使って無事脱出することに成功。道中敵に襲われるかもしれないと警戒は怠らなかったが杞憂で済んでよかった。
最寄りのギルドに向かうと服が血だらけの男性を連れた人が入ってきたので、こちらを見て道行く人、職員、冒険者はギョッとしていた。これは一体何ごとかと男性職員が駆け寄ってきた。
「これは一体何があったのですか?そちらの男性はかなり出血しているじゃないですか!急いで治療します。医療班を呼んでくれ!」
ギルド職員は急いで常駐の医者を呼び運ばれていった。
「男性の怪我は俺の回復魔法で塞いだんですけど、治療する前に結構な量の血を流していたみたいです。あと、大きな声で言えないんですけど噂の冒険者殺しに会ったかもしれません」
職員は噂になっている冒険者を殺している人が本当にいるということに驚いていた。
「それは本当ですか!?」
「本当です」
「話を詳しく聞かせていただきたいので皆様を支部長の所へご案内します。こちらへ」
祐樹と理沙と襲われていた3人は支部長室へと案内された。
「支部長、例の冒険者狩りについて至急お伝えしなければならないことが」
「それは本当か?」
「はい、彼らが実際に遭遇したそうです」
「そうか……。辛い思いをした直後で悪いが何があったか教えてもらえないだろうか?」
しばらくの沈黙の後、斬られた男性の仲間の男が口を開いた。
「あれは、俺たちが27階層でツリーマンを倒した直後だった。茂みの中から全身を隠した2人組が姿を現したんだ。始めは同業者だろうと思い俺たちのリーダの立花が声をかけた途端血を吹いて倒れたんだ。それで、そいつらが敵であることに気が付いて戦おうとしたときにこの子たちが来て助けてくれたんだ」
「そうか…君たちが彼らを助けてくれたのか。お二人はかなり若いと思うのだがランクは?」
支部長は2人は未成年だと察して危険な存在に対抗することができる実力があるのか知るためにランクを確認する。祐樹と理沙はギルドカードを見せると他の4人は驚いていた。
「君たちが噂の高校生でありながらBランクまで上り詰めた冒険者だったのか」
「えっ、私たちより強いの!」「マジかよ」「……」
支部長は話に聞いていたようだったが、他の3人は自分たち年下でありながら現在日本のトップを行くBランクが目の前にいると知り言葉を失っていた。
「それで如月君と吉田さんに聞きたいのだが。その2人組について何か気になることとかなかったかい?」
「敵は男の2人組で1人は戦いに参加しなかったので実力は分かりません。ですがもう1人は俺より少し弱いぐらいでした。Cランクの冒険者が相手をするには少し厳しいかもしれません。それと敵は腕を変化させて攻撃してきました。俺は鑑定のスキルがあるので犯罪者相手に気にする必要はないと使ったけど、文字化けして全く分かりませんでした」
「腕を変化…。そんなスキルは聞いたことがないが調べておこう。その他に気になったことは?」
「確か、任務とかあのお方って言ってたわ。あとダンジョンから自由に脱出する手段を持っているかもしれないの」
「成程、彼らに指示を出している存在がいるということか。それにダンジョンから自由に脱出する手段を持っているのか!道理で捕まらないわけだ」
支部長は尻尾を掴めない原因を初めて知った。
「情報提供ありがとう。如月君と吉田さんには後日、冒険者を助けてくれたお礼と情報提供の賞金を渡すから。これをどこでもいいから受付に見せて受け取ってほしい」
支部長から小切手が手渡されて今日は解散ということになった。後日冒険者ギルドは冒険者狩りが実在することを公表。ダンジョンに潜ることを禁止するわけにはいかないが襲われても自己責任であること注意を怠らないようにと注意喚起が行われる。
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