第11話 変わり種のダンジョンに行ってみる……①

 ネットサーフィンをしていた祐樹は少し変わったダンジョンを見つけた。


「えーっと、新たに発見されたダンジョンに野菜型モンスター現る?」

 記事を読み進めていくと森林が広がるタイプのダンジョンで野菜が魔物として襲ってくるらしいので、興味本位で行ってみることにした。

 変わり種の珍しいダンジョンということもあり人が沢山集まっていた。


「うわ~ゴブリンのダンジョンの時と違って人が多いな」

 ダンジョンの1階であるにもかからず人で溢れており珍しい野菜型モンスターを狩っていた。彼らを狩れば魔石か野菜がドロップするのだが普通の野菜よりみずみずしく美味しいということで飲食店業界がダンジョン産の野菜を欲しているのだ。その結果美味しい野菜目当ての冒険者がこうして集まっているのだ。


「ここら辺は人が多いから人がいない階層まで降りてゴブ達を召喚した方がいいかな。そのためにも次の階層に行くための階段を見つけなくちゃ」

 ダンジョンに深く潜るほどモンスターが強くなるため6階になると人が殆ど居なかった。真面目に攻略しなくても低層で目的の物が手に入ったら直ぐに売りに行くを繰り返すことで利益を得ている者たちは野菜の鮮度を優先してここまで潜ってこないのだ。だから、この辺りにいる人たちは真面目に攻略している人という訳だ。

 祐樹は粗利を見渡して人目に付かないことを確認してからゴブ達を召喚した。


『アルジ、オレタチ、ナニシタラ、イイ?』

 意思疎通というスキルを手に入れたゴブ達はまだ片言であったが何を言っているのかわかるようになった。


「取り敢えず10階層にあるボス部屋まで進もうと思っているんだが、お前たち大丈夫そうか?」


『オレ、ガンバル!』『ソウダ、オレタチ、ツヨクナッタ。マカセロ』『シンカシタ、オレタチ、マケナイ』

 ゴブたちの自信に満ちた姿を見た祐樹は頼もしい相棒だなと嬉しくなった。


 ガサガサ

 近くの茂みから頭からニンジンが生えたウサギが飛び出てきた。


 種族 ニンジンラビット

 レベル 8

 HP  37

 MP  0

 物攻 28

 魔攻 0

 防御 12

 スキル

 頭突きLv.1


 ニンジンラビットはゴブ次目掛けて飛んできたが進化したゴブ次に勝てるはずもなく殴られ返り討ちにあってしまった。元々防御力が低かったラビットとの戦いはあっという間に終わる。ラビットの消えたところには綺麗な色をしたニンジンが落ちていたので回収する。


「おっ、本当に野菜が落ちるんだ。でも、ネットでは美味しいなんて書いてたけど、大袈裟に言っているだけかもしれないし鑑定してみるか。


 魔ニンジン……ダンジョン産の野菜。魔力を浴びて育っているので普通の物より美味しい。


「へぇ~本当に美味しいんだ。なら他にもいるみたいだし探してみるか。家に持って帰ったら母さんも喜びそうだしな」


 その後もモンキュウリという、キュウリの尻尾を持つ猿や体が白菜のハクサイ、鬣がもやしのもやもやライオンなど一風変わった魔物が現れてモンスターの多様性に驚いたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る