番外編 バレンタインデー当日のトラブルと、もう一つのバレンタインデー(3)
※イリス達が暮らしている国では日本風のバレンタインが、隣国ではフランス風のバレンタインが定番となっております。
「隣国『フレズ』。俺が渡った国では、バレンタインデーの認識が少し違っているんだ。フレズでバレンタインデーは、『パートナーが一緒に過ごす日』なんだよ」
ピクニックに行ったりコンサートに行ったり、ディナーに行ったり、自分の家でゆっくりとお喋りをしたり。バレンタインデーは、愛する人と共に居る日。
東の方角を眺めながら――隣国フレズがある方角を眺めながら、教えてくれました。
「イリスは、俺が過ごしていた国を調べてくれていたよね? そういう記事を、目にしなかった?」
「…………そう、いえば…………。ありました」
あの日ランドラの森であーんをし合った、隣国の恋人たちのマスト・ポムフリット。そちらを調べた際に、チラッとでしたが、そういうものが載っていました。
「今日は俺が一日イリスの看病をして、イリスは俺に看病をされる。3食ご飯を作ったり食べたり、身体を拭いたり拭かれたり、ほらね? 一緒に過ごせてる」
「……ぁ……。そう、だね……っ。うん……っ、そうだね……っ」
「俺は人生の半分近くをフレズで過ごしているから、フレズ流のバレンタインをしてもおかしくはないよね? だから、俺達の初めてのバレンタインデーは、ちっとも台無しになっていないんだよ」
マティアス君は私の頭を優しく撫でてくれて、??? やがてその手が軽く握られて、グーの形になりました。
これは、なんなのでしょうか……?
「それにね。台無しにならない理由は、もう一つあるんだよ」
「? もう一つ……? マティアス君。それって、なにかな?」
「実はね。イリスが俺のために色々準備をしてくれていたように、俺も密かに準備をしていたものがあるんだ。どうぞ受け取ってください」
そんな言葉と同時に軽く握られていた手がパッと開くと、そこには…………っ! いつの間にか、
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