2度目の転生

プロローグ

戦聖魔暦せんせいまれき376年――


城にコツコツと足音が鳴り響く。

城は月光に照らされ、影が落ちている。


そこには一人の人間がいた。


長い黒髪。淡く光る碧の眼。


人々はこの人間に畏怖と敬意を払いこう呼んだ。




――人類最強、と。



◇■◇


――20XX年、地球



「よし、全ルート達成。」

そう言い、コントローラーを置いた。


まさか、隠しルートが10もあるとは思わなかった。もう何度やっても飽きないのがこのゲームだ。

このゲームのプレイヤーの中で一番ストーリーを把握しているのは俺だと言っても過言では無い。



「浬緒ー、学校!」

一階の方から妹の声が聞こえてきた。



「今行く――」

そう言い、欠伸をしながら階段を降りた。


流石に夜中の三時まではやり過ぎただろうか。今日も六時に起きてゲームやってたし……


そう思いながら、朝御飯を食べ、鞄を持って家を出る。



まぁ、そこまでは良かった。そこまでは。少なくともそこまではいつも通りだった。


走っている途中、曲がり角で何かと衝突した。

そう、少女マンガによくあるパンを咥えた女の子――――ではなく、トラックだった。

いわゆる異世界転生系の小説によく出てくるテンプレ展開である。


あ、やばい――そう思った時にはもう遅く、俺の視界は暗転した。


だらだらと血が流れていく感覚がある。


これは死ぬなー

と思いながらもあまり焦ってはいなかった。

突然の出来事だったので、まあ現実感はある訳もなく。


夢だといいなー、なんて呑気に考えていた。



その時、知らない筈の記憶が走馬灯の様には入り込んで来た。


これ、は……?


………そうか。そうだったな。



俺は――…

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