空模様のマーブルケーキ

 空の天気というのは、当てにならない。

 晴れていたと思ったら、急に曇って雨になったり。

 午後は雨の予報だったから、わざわざ傘を持って出かけたのに、お日さまはずっと上機嫌だったり。



 きじ猫のそらくんのマーブルケーキは空の天気とちがって、当てになる。

 美味しさには、まちがいがない。当てが外れようもないくらいに美味しいんだ。

 だけど、そらくんのマーブルケーキにも空模様と同じ、予想がつかないところがある。それは、カットしたケーキの断面。どんな模様になっているのか、切ってみないとわからない。



 マーブルケーキというのは、二つの色のケーキの生地きじ、たとえばクリーム色の生地きじとココア色の生地きじを、四角いパウンド型に入れて焼いたケーキ。

 焼きあがったケーキを型から出してカットすると、クリーム色とココア色の生地がグルグル合わさって、まるで大理石みたいな模様があらわれる。

 それで、大理石マーブルケーキと名付けられた。



 マーブルケーキはカットするたび、ちがう模様が出てきて楽しい。

 空の雲や毎日に、同じ雲や同じ時間がないように、マーブルケーキの模様も一回限りで二度と出会えない。

 今この時にわたしだけが出会える、わたしだけの模様。だから、なんだかドキドキする。


 

 猫のそらくんのマーブルケーキの二つのは、キャラメルとブラックチョコレート。

 そらくんと同じ色をしている。甘くて、ちょっぴりほろ苦い。



 もし、お客さんの昨日が当て外れな日だったら、ぜひぜひ、そらくんのマーブルケーキをお試しください。今日はぜったい、当て外れなんてことにはならないから。

 二度とないこの出会いを大切に!



 模様の予報は外れても、くんのマーブルケーキ、美味しさは予想通りだから食べてみて!

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