第100話 冬の街


やたらと立体的な雲が空を覆っていた

昨日から急に冷え込んだ空気が

あたりをキンと引き締めて

どこか遠かった冬が間近に迫るのを感じた


こうやっていつでも

容赦なく時間だけが過ぎていく


雲間から溢れ出る太陽の光は

明るいのになぜか温度を感じなくて

灰色のアスファルトを刺す

きっとこれが絶望なのだと知った


それでもやっぱり

空を見上げてしまうのはなぜ?


踏みしめた大地は揺るがず

そしてどこまでも続いている

抱えきれない絶望はそっと空へと還して

また冬の街を歩いていく

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