第36話 雷鳴


絡みつくような外の空気

息苦しさを感じながら

歩く街を覆う灰色の雲

遠くで雷が鳴っている


傘も持たない無防備な体は

雨に晒される覚悟をしながら

それでも泣き叫びたいような

気持ちになっているのはなぜ


何かが動き出そうとすること

逃すまいと神経を研ぎ澄ますこと


こんなにもほしいのに

こんなにもほしくない

自分の中の矛盾を知りながら

耳を塞ぎ現実を遠ざけて


容赦なく打ち付ける雨に

すべてを委ねてしまっている

臆病な自分自身を

洗い流して消してしまうように

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