第8話 記憶のかけら


風にひるがえるカーテンとか

無邪気に笑う子どもの声とか

何か分からない記憶が

なぜかこんなに懐かしくて


ブサイクなくまのスリッパとか

窓から見る空の色とか

どこか寂しくて大切で

触れたくてたまらない


断片のようによみがえる

こんな記憶の切れ端が

今の自分を作るのならば 

私はこの欠片たちを

掬い上げて抱きしめたい


不意にあふれた切なさが

過去の自分とリンクする

ああ、これが生きていること

生きていくということ






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