Cメロ(サビ)

「ジョナちゃん、おっはよ〜!」

「おはよう」

「今日の服、可愛いね!何かあったの?」

「ありがとう。…別に何もなかったよ。そろそろ衣替えの季節だったからかな」

「そっか」


 告白の為に可愛い服を着てきたんだけど…。意外に気になる…かな?まあいいや。白夜君に思いが伝わればそれでいいの。告白するのは放課後。帰り道に告白しようと思う。


 それまでにクッキーが割れないようにしなくちゃ。せっかく美味しく作れたんだもん。完璧な状態で食べてほしいよね。







 待ちに待った放課後が来た。すっごく緊張して、まるで走った直後かのように心臓がバクバクいってる。


 そういえば、今日は明日香とは帰れない。何か言い訳を考えなくちゃな…。


「ねえねえジョナちゃん、一緒に帰ろ〜!」


 あ…もう来ちゃった…。


「今日はお母さんが体調悪いから…ご飯作んないとだめなの…。また今度でいい?」

「そっか。早く帰ってあげなくちゃね!バイバイ!」

「うん。ありがとう。…ばいばい」


 明日香に嘘をつくのが申し訳なく思う。でも、今日は告白したいの。また今度ね。…ごめん。






 白夜君が出てくるのをさり気なく待つ。多分そろそろ来るはずなんだけどな…。


 …あ!来た!良かった。ゆっくりついて行って、人がいなくなったら告白したいな…。受け入れてくれるかな?すっごく心配になってきた。


 ポケットの中のクッキーを優しく握りしめて白夜君のあとを追いかけた。






 「おい、ジョナサン。気づいてるぞ。どうしてコソコソ付いてきてるんだ」


 …バレてた。後ろに目でも付いてるのかな?気づかれてないと思ってたんだけど…。


「うん…ごめんなさい。あの…これ…」

「クッキー…どうしてこれを?」

「…あ、あのっ!…私、白夜君のことが好きなのっ!だ、だから…っ、付き合って…ください!」

「…え?」

「…だめ?…そうだよね」

「悪い。一旦考えさせてくれ。できるだけ早く返事するから」

「うん。私こそごめんね。こんな急に。じゃあまたね」

「…あぁ」


 …失敗した。ここから付き合える確率は限りなく低そう。タイミングを見誤ったのかな。初恋は無惨に散った。どうしよう…。今までに感じたことのない感情が体の中を駆け巡った。




「………ううっ…うっ…うっ…うぁぁっ…ぁぁ!」


 白夜君が過ぎ去ったあとから、どうしてだろう。涙が止まらない。


 悔しいとも悲しいとも違う、なんとも言えない感情。


 散った初恋を同情するかのように、少しだけ時期が外れた桜の花びらが、突風に吹かれて私のもとにやってきた。

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