第6話 夜叉(やしゃ)
その日は仕事に集中できなかった
あの三人組が殺されたことが気になっていた
確かにあの男たちは確かに悪事を働いていた 人さらいというだが、殺されるほどの恨みを買っていたのか?
それだけで急所を的確に狙い 仕留めるなど普通の人や兵士にはできないとゼオンは考えていた。
一般人にできない芸当つまり暗殺者?
誰か暗殺者を雇った?
下町で同じようなチンピラを何人も見てきたが、あの三人組も同レベルで逮捕されるケースはあるが殺されるほどのチンピラではなかった
なぜ三人組だけ 殺されたのか
二回も関わったためゼオンは気になり始めた
酒場で注文を受け お酒を運んでいると噂話が聞こえた
「なあ 今日 死んでたっていう男たちあの『夜叉』から仕事もらってたらしいぞ」
聞いたことのない単語を耳にする
「そうなのか?逆恨みじゃねぇのか?」
「馬鹿野郎!人さらいをして儲けるのはどこだよ?奴隷商人だろうが!」
「奴隷商人なら他にもたくさんいるだろ?」
「あのなぁ 奴隷商人が人さらいに失敗した奴を殺すか?普通解雇するだろ それなのに足跡を付かないように始末したんだぜ! 普通じゃねーだろ」
「つまり あとをつけられないように殺したと?」
「ああ 間違えねー しかもそんな事をして証拠隠滅する用心深い奴らは裏のデケェ組織に決まってる!尻尾を掴まれたくないからな」
「その組織って まさか・・・」
「だから 言っただろう?『夜叉』かもしれねーと」
ゼオンの疑問は男の話で確信に変わる
その夜 子供たちが寝た後 ゼオンはルピスと話をしていた
ゼ「・・・という噂話を聞いたのですが、『夜叉』って一体なんの組織か知っていれば聞きたいのですが」
ル「私も聞いたことはあります 帝国の裏社会を牛耳るものたち『夜叉』の存在を・・・」
ゼ「帝国の裏社会を?」
ル「ええ 大きい国ほど表と裏があります 表は帝都や繁華街で皇族や貴族 裕福な人たち
裏はこの下町やスラム街で平民や貧しい人 犯罪を犯す者たちです その犯罪を犯す者たちの社会つまり裏社会で今 最も勢力のある組織こそ『夜叉』と呼ばれるものたちです 」
ゼ「その組織って奴隷とか人身売買を行っていないですか?」
ル「深くは分かりませんが、可能性は高いです 人身売買は巨額なお金が発生することもありますから『夜叉』が絡むには十分な資金力にもなりますし」
ゼ「やっぱり俺が子供たちをペティたちを助けて良かったです あのまま連れて行かれたら『夜叉』の絡んだ人身売買にされられていたかもしれなかったですね」
ル「最近 さらに行方不明者や貴族が奴隷を増やしていると聞いています さらに麻薬や密輸などの報告もあります このまま続けば、下町だけでなく帝都にも被害が及び帝国は麻薬漬け密輸など犯罪都市に変わってしまうのも時間の問題ですね」
ゼオンは考えこみ 無理だと分かっていても言葉にする
ゼ「俺 『夜叉』を叩き潰します」
ル「一人では無茶よ! それに大きい組織だから色々な拠点や人材 あらゆる場所に敵がいると考えた方がいいわ!」
ゼ「でも このまま黙って犯罪が増えてまた子供たちが狙われるかもしれない そうなる前になんとかしたいです!」
ゼオンの強い意思にルピスは心を打たれ
ル「わかりました。そこまで決意があるなら私も協力しましょう。」
ゼ「本当ですか!?ありがとうございます!でも協力って言ってもどうするのですか?」
ル「ちょっと 昔の知り合いに声をかけてみるわ」
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