第4話翌日から本始動
ケンタウロス達の学校では学ぶ教科が沢山ある。それは以下の通りである。1商業経済2芸術(図画と音楽)3体練術(いわゆる体育)4読み書き5幾何学6天文学7哲学8社交儀礼(祭典の仕切り方も)9弁論術10修辞学11数学12獣の乗り方13ペルシャ文学とゾロアスター教の14教科だ。
そして体練術ではアヴェスタとザンド、アーチェリーとポロ、格闘技、チェス、バックギャモンなども教わることとなるがそれはのちほど。
翌日の朝、ケンタウロスははっとして目を覚ました。辺りを見回すとすっかり景色が変わっているのに少し驚いたが、昨日学校に入学したのだと気づきほっとした。
「おはよう。」
ケンタウロスに続いてみんな起きて着替え始めた。
「朝食が済んだら商業経済の授業だな。難しそう。」
ディオが初めての授業にどぎまぎしていた。
みんなは着替え終わると寮を出て大広間へと向かった。
大広間に着くと嬉しそうなウンディーネが目に入ったが、しかし遠くにいたため彼女はこちらに気づいていないようだったが。
ケンタウロスは席に着き昨日のメンバーと話しながら食事を取った。
「パンがふかふかで美味いぞ!」
ユニがパンにかぶりついた。
「いや、やっぱり肉でしょ?」
キューピッドが幸せそうに肉を頬張る。
「今日のオプソン(副食)は格別だからね。」
そんなことを話しながら食べているとあっという間に朝食の時間は終わった。生徒達は寮に戻って身支度や準備を済ませるとそれぞれ授業のある教室やグラウンドへと向かっていった。ぱたぱたぱたと生徒達の足音が廊下中に響いていた。
「授業がもうすぐ始まるっていうのにユニのやつ遅いな~。」
なんてキューピッドがぷりぷり怒っていたけれどユニは気にしていなかった。
「ごめんよ。待たせたね。たて髪が上手く決まらなくてね。」
そんな光景を見たケンタウロスはユニっておしゃれでいいな~と感心した。
「急ごう!!」
それからケンタウロス達も教室まで急いで駆けて行った。
授業が始まると教室中が静けさに包まれた。
「生徒の諸君、ごきげんよう。」
授業のチャイムが鳴ると先生がドアを開けてガラーッと教室に入って来た。
そして生徒達は先生の指示で教科書を開き黒板に書かれた字をノートに写し出した。
「初めのページを見てくれ。ここではまず、二圃式の乾燥農業について学んでいく。それは以下の通りである。」
そして先生はこう続けた。
「穀物類は大麦・小麦が主であり、特に前者の生産が圧倒的である。」
先生が黙々と説明をしているとサタンがしゃしゃり出るように手を挙げた。
「先生、質問があります。」
「なんだね?」
「どうして他の寮の生徒と一緒に勉強するんですか?」
サタンはケンタウロス達の方をじろりと見て言った。
「寮は違えど学年は同じだからな。この学校ではクラス別の授業はないのさ。」
そんなことは当然という顔をして先生は言った。
「君は入学の手続き書を読まなかったのかね?昨日入学式の後にみんなに渡ってるはずだぞ。よく読んどけ!」
先生の注意に生徒達がどっと笑った。
「はい、静かに。授業中だぞ。」
先生が生徒達に注意を促す。
サタンは恥ずかしさと怒りでいっぱいになりどさっと席に着いた。
「サタンの野郎、バカじゃねーの?」
誰かが小声で生徒に話しかけていると先生がやって来て教科書を丸めて生徒の頭を軽く叩いた。
「減点対象になりたいか?静かにしろ。」
「はい・・・すみません。」
怒られていたのは鍛冶屋の息子のヘファイトスと彼の話を聞いていた伝令使のヘルメスだった。
「なんで俺まで怒られなきゃいけないんだよ。」
とヘルメスが文句を言っていると先生が”成績に響くぞ”と2人を叱った。
「すみません。」
怒られた2人はそれからはおとなしくなった。
1時間目の授業が終わった後サタンがケンタウロス立ちの方にやって来て嫌味たっぷりにこう言った。
「お前達のせいで恥をかいた。どうしてくれるんだ?」
「いや、自分が手続き書をちゃんと読まなかったからだろう?人に罪をなすりつけるなよ。」
ケンタウロスが反論した。
「ふん、行こうぜ。」
サタン達は気だるそうに教室を後にした。
「なんて感じ悪い奴らだ。」
ディオが去っていく彼らの背中にそう叫んだのも虚しく教室中に声が響き渡っただけだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます