第3話 淀屋


 ある仮説を俺は立てる。


 豊臣秀吉人間は取り立てられた材木商。


 山城国岡本庄出身の淀屋 个安こあん

 本姓を岡本 言当ことまさ

 个安の父親の淀屋常安が豊臣秀吉時代に山城国岡本庄から大坂に進出し、材木商人になった淀屋の5代目の淀屋辰五郎は、豪奢を極め、金を湯水のように使い、茨木屋の遊女玉菊(一説に吾妻)の為に財産を使い、徳川幕府に財産没収、追放処分を受けた。


 成り上がり豪商が無一文に。


 小説、浄瑠璃、歌舞伎の素材となったこの歴史のエピソードを。


 俺はファンタジー小説に仮託し、アジプロ演劇の劇作として大学4年生の夏休みに書いた草稿を、実家の勉強部屋の机にしまったまま。


 地元の政治家の第二秘書となった。


 地元の政治家の宴会の余興で呼んだ芸子。


 野球拳をする子供のような政治家の満面の笑顔を見ながら。


 笑えない拍手をしていた。


 その夜、俺は消える事になる。



 転生でもしない限り。


 俺の意識は眠ったままだった。


 実家の勉強部屋の机にしまった草稿。


 アジプロ演劇。


 逃げてきた存在を助けるか?


 助けないか?


 エキストラとでも言うべきマジョリティーの決断。


 歴史の影のパワーとは?


第3話 了

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