秋雪

気付いたら裸足のままで 湿った落ち葉を踏みしだいてた


ぐんにゃりと伝わる 裏側からの感触


匂いだけはなくて


人のいない小道を歩き続けて


少しだけ吹いた風には冬の気配



誰かが傍にいたような でも今はひとり


あぁ そうだ 誰かは殺されたんだった


それはあの人に、それとも私に?



鮮やかな道は色をなくして 冷たさもなく足はかじかむ


微かな雪踏みの音 響いて


仰いだ空は凍てついた 舞い踊る雪片



膝を抱えてうずくまる 白い世界の中で虚ろに


遠くの気配はあの人だろうか


どうして私も消してくれなかったの


なんで、生きろなんて言うの?


凍える体を包んで暖めては また世界へと逃がして



眩しいものを遠くを見るような瞳で囁かないで


今も見ているのなら せめて止めをさして


同じものになれない させてくれないのなら


吐き出した言葉を空に溶かした欠片で 傷を


秋のように染まるまで



氷の花開く惑い道 赤に呑まれる迷い道


夢うつつで何度も廻る小道に


うっすらと残る足跡は朱に囚われて


凍てつく心の温度の中には あの人の言葉だけが灯る


残酷な残り香


永遠に続きをみていたくても 許してはくれない



白と赤が混ざり合った 幾重の別れ道 思い出


かざした手を擦り抜け 届かなくなる いつかの夢


あくなきほど溺れ沈む 狭間の季節で 声を聴いて


また目覚める

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