第4話 渡された物は――
「本当にいいの?」
受け取ったペンダントを見つめ聞く。
「あなたに渡すために祈りを捧げたペンダントよ。ペンダント自体は安物だけど、正真正銘の結界のペンダントよ。モンスターから身を護るから。近づけさせないらしい」
”らしいなんだ。でもこれがあれば、大丈夫な気がする”
「ありがとう。宝物にするよ」
「うん。それとお祝い」
「え~~! それはさすがに受け取れないよ」
リナが手にしている物は、お金だった。ほとんど目にした事がない物。はっきりいうと、触った事すらない。
「これで馬車に乗って行くのよ。あなたはスキル持ち。渡しても問題ないわ」
「あ~なるほどって、そういう問題じゃなくて……」
「だったらお金貰ったら返しに来て」
そう言うと、リナは無理やりお金をエストキラに握らせた。両手でエストキラの左手を握る。
エストキラは、頬が熱く感じた。
「あ、ありがとう。有効に使うよ」
「うん。着替えたらまず、公園に来て。そこで待ってる」
「え……」
「見送りぐらいさせてよ」
「うん。何から何までありがとう」
”感謝しかない。僕自体は何もしていないのだから”
リナと別れたあとエストキラは、装備品にオプションを付ける事にする。
シャツにベスト、ズボンに靴。帽子まであった。
”靴って片方ずつに付けられるのかな?”
靴片方ずつにオプションを付けたところで、合わせても素早さ10もいかない。
「スキルスバヤサ」
――素早さ+1を付与しました
「よし。成功だ」
シャツにオプションを付ける事に成功し、次はズボンだと手に取る。
「スキルスバヤサ」
――素早さ+1を付与しました
――オプションがレベル2になりました
――マスターがレベル2になりまた
「あ、もうあがった!」
”そういえば、10Pでレベルアップだったっけ。どれどれ”
オプションという役に立たないと言われるスキルだとはいえ、上がれば嬉しいもので、うきうきと確認する。
*オプション
消費MP:1(マスター効果)
装備全般に有効
成功率:51%
オプションが付いているモノは上書きになる。
*レベル2:素早さ+1/重さ-1
次のレベルまで:0P/40P
成功時4P、失敗時2P(マスター効果)
”うん? マイナスというオプションもあるの?”
重さという文字の後ろの文字がマイナスなのか詳しく見てみる事にした。
*重さ-1/このオプションがついているモノを1%軽くする。
発動条件:対象に触れながら『スキルカルクナレ』と発する。
”やっぱりマイナスなんだ。って、1%? せめて10%ならよかったのに”
微々たる%なので、意味がないとため息をつく。
*マスター
*レベル2:スキル発動消費MPを1にする。また経験値を2倍獲得。
次のレベルまで:オプションがレベルアップ時に一緒にレベルアップする。
”やっぱり経験値2倍の効果か。まあ悪くないな”
リナが待っているので、残りの装備にもオプションをつける。本来ならつけなくてもいいかもしれないが、付けろと言われたので付けておこうと思ったのだ。
靴は、両方に付けられた。最後の帽子以外は、失敗せずに素早さをつける事に成功し、早速着替える。
両親がいるだろう畑へと向かった。
「あら、その恰好は?」
「えっと支給されたんだ。僕、隣街で働く事になったから」
母親の言葉に、心配させない為に考えていたセリフを言った。
「そうか。しっかりな。俺たちの事は心配するな」
「うん。行って来る」
「え? もうでかけるの?」
「今日からなんだ……」
「たまには帰って来てね」
「モンスターに気を付けてな」
二人は、手を振りエストキラを見送る。騙しているようで心苦しいが、笑顔で手を振り返した。
”二人の為にも死ねない。絶対に生き残ろう”
そう決意したエストキラは、神殿へと向かう。
「準備ができたようだな。これが指示書だ。この荷物と一緒に向こうの神殿に渡せばお金がもらえる」
「はい……」
渡された荷物は手紙の様で軽い。持ってきたリュックに入れ背負う。
神殿を後にし、リナが待つ公園へと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます