君だけだよ


 俺の幼馴染には、すぐ相手の手を握る癖がある。


「いこっ!」


 小さく、柔らかくて、


「ね、こっち!」


 愛おしくて、大好きな温度。


 でもだからこそ、不安だった。


「なぁ。その癖直した方がいいぞ?」


「なんで?」


「勘違いするやつも……」


 言い終わる前に、彼女はにへらと笑い、また手を握ってきた。

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