秋雨の中で


 雨の日は暗くなるのが早い。


「もう真っ暗だね」


 努めて平静を装い、隣の彼に一歩近づく。


「だな。この辺は街灯も少ないし」


 その言葉で、さらに一歩。


「……何も出ないよね?」


「さぁー?」


 その時、一際強い風が私たちの頭上の傘を揺らした。思わず、彼の袖を掴む。

 

 相変わらずだな、と彼は笑った。

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