そして今、君と林の前で笑う


 遠くから聴いていれば良かった。

 近付いたのが間違いだった。


「やめとけって」


「いーや、大丈夫!」


 意固地になったのもあった。悔しくて。

 雑木林に足を踏み入れ、奥へと進み……それは唐突に横から舞い上がった。


「わぁぁ⁉︎」


「ハハハ、だから言ったのに〜」


 蝉時雨に魅入られた、真夏の思い出。

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