12 知性と文明の相関図
図:https://19084.mitemin.net/i556160/
この図では、知性の2要素(想像力・欲求)と
3種の文明活動(科学・技術、制度・政策、経済・社会活動)の、
様々な相互作用を示しました。
そうした流れを
①限りない想像力→自然科学的技術が生まれる
→経済・社会活動の生産性増大
②限りない想像力→社会工学的技術も生まれる
→制度・政策の生産性(効率性)増大
③限りない欲求→現技術下での利害調整政策が求められる
→経済・社会活動の健全性確保
④限りない欲求→新技術の開発・普及政策も求められる
→科学・技術の健全性(適切な発展)確保
となります。
想像力が技術、欲求が政策を生み出すと、
それらがさらに玉突き式に、
他の2つの文明活動に働きかける形になります。
文明活動同士の相互作用です。
また、それらの動きが集まると全体として、
技術革新→社会変化→政策変更→技術革新……、
という文明発展の
それがまた想像力や欲求の無制限化を促します。
すなわち、⑤想像力と欲求が文明を発展させる
→さらなる想像力と欲求の無制限化となります。
文明活動の3要素に加えて、知性の2要素間、
知性と文明活動の間にも相互作用の関係があるといえます。
以上を
第一に、人間の限りない想像力は、
合理的な推論から自然科学的な技術を生み、
経済・社会活動を豊かにします。
第二に、科学・技術によって、
経済・社会活動は拡大し、複雑加速化します。
第三に、経済・社会活動の拡大と複雑加速化は
人々の欲求を多様化させるので、
利害調整のための制度・政策を必要とさせます。
第四に、制度・政策は、
まずは既存の技術のもとで様々な利害を調整し、
経済・社会活動を健全に保ちます。
第五に、このとき科学・技術は、
完全な空想(
社会工学的な技術によって、政策実現を助けます。
第六に、他方で制度・政策は、
人々の限りない生活向上の欲求を受けて、
さらに想像力を活かした新技術の開発・普及も促します。
このようにして、
文明発展の
ところでこの図では、知性(人間性)とあります。
私見では、知性と人間性はどちらも、
限りない想像力と欲求を含むので、広い意味では同義であり、
違いをいうなら知性は想像力、人間性は欲求の部分に
重きを置いた言葉なのではないかと思います。
文明活動とその発展のなかで、
無制限的な想像力がもたらす複雑高度な認識と、
無制限的な欲求からくる多様で可変的な決定・行動は
必ず
両者は
高度な認識は複雑な活動につながると共に、
自己改良型の
活動の複雑化はさらに高度な認識を求めると思います。
知性と同様に人間性もまた、多義的な言葉であり、
狭い意味での人間性とは特に、欲求の多様性の中でも
社会的に好ましい部分をさすでしょう。
しかし、そうでない言葉の用例もあります。
ルネッサンスは、厳格なキリスト教文化に対する、
〝人間性〟回復の学芸(学問・文化)思潮でありました。
しかしその中には、芸術表現の自由化だけでなく、
道義だけでは君主になれぬと説く『君主論』も含まれます。
また、同じくルネッサンスを担ったレオナルド・ダ・ヴィンチは、
芸術作品だけでなく、科学・技術上の業績も残しています。
ここでは豊かな想像力や科学的思考、多様な欲求や価値観を
全て含めて、人間性と言っているのではないかと思います。
いずれにしても、人間が持つ知性あるいは人間性は、
限りない想像力と欲求を両翼とし、
それが技術と政策という文明の両輪を生み出して、
文明発展を可能とする一方、
その発展がさらに想像力と欲求を拡大して、
次なる発展を求めさせるのだと考えます。
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