10 文明課題対策図

図:https://19084.mitemin.net/i556190/


人工知能(AI)を中心とする新技術と、それを活用した政策が、

現代の様々な課題を解決できることを示した図です。


理論的には図9のように分類できる文明課題を、

技術と政策が解決することになりますが、

ここでは実務的な政策の視点から課題を分け直したうえで、

それぞれの対策に活用できる技術を書きました。


なぜ文明課題を政策の視点から分けるのか?

技術は政策的な課題まで扱うのが難しいが、

政策は〝技術的政策〟において、

技術的な課題も扱えるからです。


人間以上に人工知能が発達して、

あらゆる政策的課題を扱えるようになれば、

全てが技術的な課題にもなりうるのかもしれませんが、

今はまだですし、丸投げするのは恐い気もします(笑)。


自然現象を制御し文明を発展させるのが技術ですが、

その恩恵を活かし弊害を防いで社会的課題を解決したり、

それでも足りない場合は新技術の開発を助けたりして、

文明を健全に発展させるのが政策なのだと思います。


技術的政策における課題が、科学・技術の持続可能性です。

(資源枯渇、環境破壊、都市老朽化や災害・犯罪などの問題に対し、

富の安全を含む生産に役立つ科学・技術を、

健全に開発・利用し続けられるようにする政策の課題です。)


経済・社会政策における課題が、経済・社会活動の持続可能性です。

(拡大・複雑・加速化する経済・社会活動を健全に保つため、

富の再投資を含む分配を調整する政策の課題なので、

〝経済・社会活動〟の持続可能性となりました。)


人的資源政策における課題が、人的資源の持続可能性となります。

(社会の変化による健康水準低下や教育難度上昇に対応し、

政策の実現に必要な、富を作って分ける人々自身、

言い換えれば人々の健康・教育という、

最も重要な富を向上させる政策の課題です。)


行政管理政策における課題が、制度・政策の持続可能性となります。

(拡大・複雑・加速化する経済・社会活動に対応した、

政策の国際化など巨大化や、民主化・自由化など分権化の要請です。

これは、富を作って分ける人々自身、あるいはその健康・教育という、

最も貴重な富を活用する政策の課題です。)


しかし、以上の課題を既存の技術だけで解決するのは困難です。

人類は今、文明の転換期ともいうべき、

文明段階の移行期にあるからです。

ある一定の技術水準において政策が利害調整を極めると、

さらなる問題を解決するには次世代の技術、

そしてそれらを開発・普及する政策が必要となります。


農耕技術は、文明を生み出しました。

工業技術は、文明を世界的に拡大しました。

情報技術は、地球という空間的限界への到達による衝撃を緩和しました。

しかし私達はまだ、文明の時間的な持続可能性を見通せていません。


様々な資源・環境問題、経済・社会問題、

教育・医療や政策自体に関わる課題が表れつつあります。

そのため、次なる文明段階をひらく技術を、

開発・普及・活用し得る政策が求められています。


この図では、既存技術のもとでの政策課題を整理したうえで、

その解決に役立つと期待される新技術を書き出しました。


人工知能(AI)を中心とした様々な次世代技術は、

生物など自然物と、機械など人工物の間の障壁を取り払い、

いわばいとこ取りで両者の持続可能性を高める、

(体内環境を含めた)自然環境や社会環境に優しい、

持続可能性(環境親和)技術ともいうべき技術です。


研究・開発政策を初め、各種の政策が連携して、

そうした新技術の健全な開発・普及を助ければ、

それらの技術は社会をさらに豊かにするだけでなく、

新たな社会を健全に保つ、各種の政策も支援してくれます。


新素材・新エネルギー技術は、

主として社会基盤インフラ政策など、技術的政策を助けてくれます。


IoTとビッグデータ処理、知能ロボット、生物工学バイオテクノロジー生体工学バイオニクス技術は

産業振興・社会保障など経済・社会政策を助けてくれます。


先進医療・教育技術は

保健・教育といった人的資源政策を助けてくれます。


行政管理政策は組織運営、施設整備、人材育成など、

行政組織内における以上の政策ともいえるので、

上記のAI時代技術は全て、行政管理政策も助けてくれます。


以上はあくまで重点分野の実例なので、

技術と政策の相互支援は、両者の全ての分野同士に及んでいます。

しかし、現在において特に重要な点は、〝人的資源〟の向上が、

可能、かつ必要とされることだと思います。


人工知能(AI)を中心とした次世代技術は、

富の生産と分配に加え、富を作って分ける我々自身、

あるいは最も貴重な富と言うべき、我々自身の健康や教育までも、

画期的な方法で支援し、向上させることができます。


今日こんにちの政策でも生活水準の向上や少子高齢化、

地球規模の自然的限界と社会的統合への接近、

あるいは大量破壊兵器の出現などを背景に、

淘汰の犠牲や費用コスト危険リスクなき

人的資源の維持・向上が求められています。


人間の能力や資質を向上させることができれば、

次には社会状況の変化に応じて、

それらを適切に活用することもまた、

重要になっていくことでしょう。


すでに現実の政策においても、

国連の〝持続可能な開発目標(SDGs)〟や〝人間の安全保障ヒューマン・セキュリティ〟、

我国のソサエティ5.0やデジタル改革、スマートグリッド、

スマート(スーパー)シティ、マイナンバー、

データヘルス、エデュテック活用など様々な分野で、

以上のようなことが考えられていると思います。

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