2 歴史学的説明図

図:https://19084.mitemin.net/i556143/


長期的にみると、技術が進めば社会が変わり、

社会が変われば政策も変わり、

その政策がさらに次の技術開発を促す……という、

螺旋的な上昇の循環スパイラル・アップ・サイクルによって、文明が発展していきます。


まず重要な点として、個人の活動と違って文明活動では、

決定(制度・政策)と行動(経済・社会活動)の順番が逆になります。

ある技術水準のもとで人々が様々な社会活動を営む中から、

試行錯誤しこうさくごによって制度・政策が確立されていくからです。


技術や政策の社会的・長期的な流れは、

多くの人々の活動から得られ、またその基礎になるので、

個々人の各行動における認識や決定と全く同じではなく、

総合的な見識や人格の形成に近いところがあるのでしょう。


科学・技術(工学)や制度・政策においては、

法則・技術や理論、理念・法規や制度といった、

一般的な認識・決定やその体系が重視される、

というのもその表れだと思います。


次に、具体的な文明発展の過程プロセスを見ると、

生産・輸送・通信や軍事に関する科学・技術が発達すれば、

経済・社会活動が拡大・省力化と共に複雑・加速化するので、

それに応じて制度・政策も高度化し、巨大化と同時に分権化します。


政策の巨大化と分権化というのは、一見矛盾するように見えます。

でもそれは、必要とあれば大勢が動くが、

それにあたっては、より多くの人々が決定や改善に関わるように

なっていく、ということです。


歴史上、国家の統合が進み、

国際協調主義や全球統治グローバルガバナンスの理念が生まれる一方で、

政治的民主化や経済の自由化、地方分権、様々な監査制度、

そして人権保障が発達してきたのは、その表れだと考えます。


また他方で政策は、新たな科学・技術の研究・開発も促します。

画期的な新技術の開発や普及には多くの資材や人材、資金を要し、

巨大科学ビッグ・サイエンスと言われるような現代の科学・技術では特に、

その傾向が著しいからです。


アメリカが情報革命に成功したのは、

アポロ計画や核戦争対策における電算組織コンピュータシステムの、

国家的な開発努力によるところが大きいと言われます。


しかし、多くの技術は物的資源に具現化されないと

社会を豊かにすることができません。

また、政策は人的資源を通じて実現されないと、

社会を健全に保ち、確立されることができません。

さらに、政策が新技術を開発・普及する際には、

自然・社会環境が制約・促進要因となります。


そのことは、大戦で日本が敗れた大きな理由(物資の不足)や、

民主的な憲法のもとで独裁者ヒトラーが生まれた原因

(民度[社会的知識や政治的成熟度]の不足)、

英国の産業革命を助けた条件(原料、労働力、資本や市場の存在)

などに表れています。


しかし、これまでも先人が行ってきたように、

失敗であれ成功であれ、過去の経験から文明の潮流トレンドを読み取り、

現在の状況分析と合わせて、将来の活動に活かしていければ、

必ずや社会の繁栄に役立つと思います。

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