おチビちゃんの挑戦その2-1

(あ~・・・・ねみぃ。)

本日何度目か分からないほどのあくびをしながら、校舎から出る。

徹夜でオンラインゲームをしたツケで、朝から眠くて仕方が無い。

午前中で授業が終わるから楽勝だと思っていたが、今こうしていても歩きながら眠れそうな程に、眠たい。

(早く帰って寝るか。)

そう思っていたのだが。

「待ちなさい、高宮 漣。」

校門を出たところで、おチビちゃんから声が掛かった。

「よぉ。久しぶりだな、おチビちゃん。」

「大げさね、たかだか一週間振りでしょ。」

立ち止まることなく歩き続ける俺を、おチビちゃんが追いかけてくる。

歩くスピードを抑えてはいるものの、それでも追いついてくるところを見ると、足はだいぶ治ったようだった。

「こっちよ。」

駅へ向かう角を曲がろうとする俺の制服の裾を掴み、おチビちゃんが別方向へと誘導する。

「えっ?なんだよ、どこ行くんだよ。」

「マクドナルド。」

「・・・・は?」

「お腹空いたでしょ。」

「いや、それより俺は」

「この間のお礼もしたいし。」

(・・・・参ったな、早く帰って寝たいんだけど・・・・)

断りを入れる隙も無く、俺はおチビちゃんに制服の裾を掴まれたまま、マクドナルドに連行された。

俺の注文を聞くと、おチビちゃんは空いている席を確保するよう俺に指示を出し、レジの列に並ぶ。

ちょうどお昼過ぎで店内は混雑していたが、店の奥に向かい合わせの二人掛けの席が空いているのを見つけ、壁際のソファ席に鞄を置き、通路側の椅子に腰を降ろしてひと息ついた。

とたんに、強烈な睡魔が襲ってくる。

振り返ると、おチビちゃんがいるのは、レジ待ちの列の中ほど。

(少しくらいなら、いいよな。)

そう判断して、俺は目を閉じた。

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