第31話 現実世界で増殖中。
「真島ちゃん。おはー」
「あ、おはよ。木下さん」
「今日も寒いねぇ〜」
「もう年末だしね」
「年末年始のお休みって実家帰るの?」
「う〜ん。考え中」
「真島ちゃんの実家、京都だっけ?良いなあ〜。なぁなぁ、舞妓さんとか知り合いにおらんの?」
「いや、京都出身だからって舞妓さんに知り合いが居るとか無いからね?」
「そうなの?」
「そうなの。大体、私の実家って祇園から遠いし、そうそう見ないよ舞妓さんなんて」
「なんだ、つまんないの」
「つまんなくて結構です」
そんな何時ものやり取りをしつつも私達はいつも通りの仕事をこなし今年の仕事が終了した。
◇
「じゃ!また、来年」
「また、来年」
仕事が終わって年越しの準備。
と言ってもする事ないけど。
何せ、もう1週間は引き込もれる体制を前もって構築してあるのだ。
それもこれも、フリージアちゃんと長く過ごす為に。
最近の私はフリージアちゃんが貴族の集まる貴族院なる学校に通っているので、余り直接は逢えていない。
そう言った意味では、マルクス君に憑依してるマルとやらが、何時も一緒に居られるのが、ガチ羨ましい!!
だけど、もし私がフリージアちゃんに憑依バージョンだったのなら、直接触れ合ったり遊んだり出来なかったので、それはソレこれはコレなのである。
「さてと、フリージアちゃんは今どうしてるかな?」
と言っても私が、ゲームを始めないと話は進まない筈なので今も学校でお勉強中の筈である。
「ただいま〜」
と言っても誰も居ないのだけど。
電気を付けてコートと鞄をソファーに放り投げる。
「さむさむ」
ストーブを着けて晩御飯の用意をする。
年越しうどんはどうせ明後日食べるし、暖かいものってうーん。
と悩みつつ結局鍋焼きうどんにしてしまう。
「頂きます。アチチ」
フーフーと冷ましながらお手軽簡単鍋焼きうどんを啜る。
「うう〜ん。このとろろ昆布がいい味だしてるのよねぇ〜」
ズルズルと完食し、待ちに待ったフリージアちゃんライフの観察を始める事にする。
勿論、鍋は流し台にINだ。
今日は熱燗をチビチビやりながらツマミに胡瓜と茄子と白菜の漬物をポリポリとやりながら、コントローラーを握る。
「お。フリージアちゃんお勉強頑張ってるね」
教室マップで大学の机の様な段々の処にフリージアちゃんのドット絵が映っていた。
「そう言えば、お友達出来たのかな?」
等とフリージアちゃんの交友関係を心配していると授業が終わったらしく皆、思い思いに動き始めた。
するとイベント発生。
◇
フリージア:
「うーん。終わりましたわ」
伸びをして身体をストレッチしていると後ろから声をかけられた。
エルザ:
「シア、この後どうするの?」
フリージア:
「あ、エルザ」
声を掛けてきたのは、入学式当時から仲良くなったエルザ嬢だった。
何となく昔、仲の良かったエル君に似ていて、性格も趣味も似通っていた為、直ぐに仲良しになった。
フリージア:
「う〜ん。どうしよう?寮に帰ったら予習復習するだけだし、別にこれといった用事はないわね」
エルザ:
「そう?ならこの後、街へ出てお買い物しない?私ちょっと欲しいものあるんだ」
フリージア:
「そうなんだ。いいわよ」
エルザ:
「やった!」
そのまま、2人は荷物を寮に置き、制服のままに街へと繰り出した。
学生だと学生割引があるからだ。
この学院では貴族に庶民の生活の在り方や金銭感覚を学びの一環とし、貴族が庶子に横暴な振る舞いを抑制する為の裏授業として学院が学生のお小遣い規制もしていた。
実施当時は多くの不平や反対意見もあったが次第にやり繰りする事が、座学以上に実践教育の有用性が明らかになり、多くの学生の頭脳レベルが上がった為、次第に受け入れられるようになった。
エルザ:
「シア!早く早く!」
フリージア:
「ちょっと待ってエルザ」
フリージアの手を取って走り出すエルザ。
エルザは最近流行りのペアのチャームをフリージアとお揃いで手に入れたかったのだ。
仲良く手を繋いだ2人は夕焼けに向かって走り出す。
◇
「ああ〜良いわ〜。これぞ青春よねぇ〜」
ザザザサザザザサ
「ん?あれ?フリーズした?ちょっと止めてよ!データ飛んだりしたらフリージアちゃんに逢えなくなっちゃうじゃない!」
慌ててパンパンとテレビを叩く。
「いや、叩かないわよ!昔のブラウン管じゃあるまいし」
叩いても壊れるだけだが。
「知ってるわよ!って……は?」
モニターに訳の分からない文字列が表示されたていた。
咲は混乱した。
「メダ○ニか!?」
しかし、キ○ラルの呪文は使えない。
「やかましいわ!って!何この身に覚えのあり過ぎるやり取り!」
「わわ!なに?何処ここ!」
「あれ?あ!サキお姉様だ!」
「あれ?フリージアちゃん……とどちら様?」
これから怒涛の展開が始まる!!
「いや!始まらねぇから!」
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