第25話 sideマル 無名の中にこそ名作有り(持論)
キーンコーンカーンコーン
放課後を告げるチャイムが鳴り響く。
「まるやん、帰りどーする?」
「ん〜?いつも通りゲームショップ見てから帰る感じ?」
「まるやん、この間もギャルゲー買ってたやん?もうクリアしたん?」
「あ〜、なんか在り来りでつまらんかったんだよなぁ〜。一応フルコンしたけど」
「いや!結局フルコンしんてじゃん!」
「なんか取り敢えず手をつけたらフルコンしないと気が済まないくてよ〜」
「そればっかやん!全く」
「で?今日一緒に行くか?」
「せやなぁ〜」
…………
「なぁなぁ、まるやん、これとか良くねぇ?」
「ん〜?あんまりビビっと来ない?」
「そんなんインスピレーションだけで買ぉてるからクソゲー掴まされとんやで?同じギャルゲーでも泣きゲーとかの方がストーリーにのめり込めると違う?」
「別に人の嗜好はそれぞれだろ?」
「せやけど、金、勿体ないやん」
「だからこそ、インスピレーションで買ってる…お?」
「なんか良いのあったん?ってワゴン売りの中古品やん!」
「いや、新古品だろ?それに俺、今ビビっときたんだって、これに」
「なんや?〈誰が為に乙女は咲く〉って聞いた事無いな、これ」
「いいじゃん!無名の中に名作有りだぜ!」
「いやいやいや、無名は駄作だから無名なんやん!」
「良いんだって、リーズナブルな500円てのも最高じゃん?」
「もう、知らんわ。俺はちゃんと止めたで?」
「ちゃんと感想語ってやるよ」
「どうせ、つまらないけどフルコンはした、だろ!」
「分かってんじゃん!ははは」
………
「なあ、拓海」
「なんや?まるやん」
「昨日のあれ、なんかギャルゲーと言うより育てゲー?ぽい」
「は?」
「いや、一応学園モノぽいってのはパッケージデザインと説明書で分かるんだけど、始まりが何故か0歳からなんだよなあ」
「はぁ?なんやそれ?○リンセスメーカー的な?え?本気でそれギャルゲやったん?」
「いや、主人公、男だから、それを言うならプリンスメーカーだな。
あるかは知らんけど」
「そんなん、需要あんの?」
「さあな?それより、あのゲームしばらくプレイしてても屋敷のマップ画面から全く変わらなくてな、でも一応カレンダーが5分置きに変わってるからゲーム的には進んでるっぽいんだけど部屋から1歩も動けないし、他に操作する事も出来ない上に、ずっとベッドの中だから何も起きないんだよ」
「はぁ?なんやそれ?てか何も出来ないって放置ゲーでも有り得ないやん」
「お〜。なるほど、放置ゲーか。それは俺も初めてのやるパターンだったな。俺、それ系は経験ないんで流石にちょっと混乱したわ」
「いや、誰だって混乱するわ!ソシャゲじゃないのに放置ゲーとか!それ誰得なん?コンシューマーで放置ゲーとか無理あり過ぎやん!」
「いやぁ〜パッケージには確かに恋愛シュミレーションとしか書いてなかったんだけどなぁ〜。
でもオープニングムービー終わったと思ったら、なんの説明も無しにその画面だったから流石の俺もビックリだったわ!
プレイ4時間の間、ずっと何も操作出来ずに終了した時にはゲームがフリーズしたのかと思って何度かリセットしたけど、オートセーブなのか始めからがセレクト出来ないだよなぁ。
参った参った。なははは」
「いや、4時間とか!その前に気付けや!それクソゲーやん!もう完全にクソゲーやん!」
「まあ、でもフルコンするけどな!」
「なんやそれ!結局それやないかい!」
「なははは」
良し、今日も帰ったら頑張って放置しちゃうぞ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます