濃紺の魔導機甲(マギ・マキナ)~レヴァンデ視点~
アリア達がラビッシュ近郊の森林地帯で校外実習を行っているのと同時刻・・。
ラビッシュから北に千キロ程離れた場所に位置する、周囲百五十キロ程の孤島に建造された巨大な施設に存在する
「・・・いよいよですね」
レヴァンデは小さく呟きながら微笑む。
その微笑みは無邪気な青年のようで、多くの女性を虜にするような美しいものであった。
そして、微笑みながら見上げた彼の視線の先には、一機の濃紺色をした
その機体は全高二十メートルにも達する大型なもので、左右に大きく張り出した鋭利な形状をした大型の肩部装甲が特徴的で、人間でいう膝部分からは大きな角のような装甲が張り出している。
そのフォルムは全体的に無骨かつ大型で、巨大な一角を生やした頭部に埋め込まれた『人工魔眼』は、血塗られたような紅色であった。
同じく、濃紺がメインである機体の所々には紅色のワンポイントで塗り分けられており、その造形はまるで古の邪龍のように禍々しい。
そして、背面から乗り込むのが通常であるはずのコクピット部分は機体胸部前面にあって、そのハッチが大きく解放されており、コクピットからせり出した単座シートにはリリアーナが座していた。
リリアーナは美しい真紅の長髪をハーフアップに纏め、黒をベースとして赤色のラインが随所に入った
その
ピピピ・・・。
リリアーナが人形のような無表情をしながら、白くてしなやかな指先を単座シートのコンソールに走らせると、彼女はそのままコクピットの中へと呑み込まれていった。
バシュウゥゥゥ・・・。
そして、重々しい音を発しながら、巨大なコクピットハッチが固く閉ざされた。
シュイィィィィィン・・・!!!
直後、機体背面に搭載された発導機が始動し、眩いマナの光を放ちだした。
始動した発導機はすぐさま機体の各所に膨大なマナを送り出し、起き上がった頭部に収まった『人工魔眼』が紅く輝きだした。
「素晴らしい!!」
その一部始終を見ていたレヴァンデは、両手を伸ばしながら歓喜の声をあげた。
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・。
ヴォンヴォンヴォンヴォン・・・・。
「まさか、わたくしが
そう言いながら、リリアーナは光魔導スクリーン越しにレヴァンデを見下ろした。
『先の訓練でリリアーナ嬢は十分に
『それに、その機体には『黒の君』によって生み出された
『今回は実戦を兼ねた実験です。そして、『黒の君』も貴方の戦いぶりをご覧になるはずです』
『『黒の君』が生み出したこの機体は、必ずや貴方の
「・・レヴァンデ様の御期待に応えて見せますわ」
リリアーナはレヴァンデの言葉へ静かに応えると、操縦レバーを握る。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・。
バシュゥゥゥゥ!!
ズシィィン!ズシィィン!
そして、機体がハンガーからパージされたのを確認してから、駐機場に併設されている
ギウゥゥン・・ガシャン!ガシャン!
両脚部が
シュウゥゥゥゥゥ・・!!
『
管制のアナウンスを聞きながらリリアーナの搭乗する機体を眺めていたレヴァンデはニヤリと
「まったく愚かなものです・・」
「千年前に平定されたこの巨大な・・いえ、あまりにも
『カウント、十・・・九・・・』
「しかし、その平定も・・漸く終わる日がくるのです!」
「とうとう、『黒の君』は『女神』と
『八・・・七・・・』
「そして、自ら
・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ヴォンヴォンヴォンヴォン・・・・。
『五・・・四・・・』
管制による残りのカウントが『五』を切ったところで、リリアーナは操縦レバーを大きく捻って機体のマナ出力を上げ始める。
シュイィィィィン!!!!
「っ!?」
すると、コンソールに表示された円状のマナ出力表示が一気に跳ね上がった。
その数値は既に二十万サイクラをゆうに超え、
その桁外れのマナ出力は、まさに『
・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・。
シュウゥゥゥゥ・・・・!
『三・・・二・・・』
カウントがゼロに近づくにつれて、大量の水蒸気が辺りを充満し始める。
レヴァンデは水蒸気によって視界を呑み込まれながらも、その手を濃紺の
「さあ!
「いまこそ、人類の歴史に大きな『転機』を生み出すのです!!!」
『一・・・・』
「そして、私達人類は・・『黒の君』と共に『女神』の力を越えるのです!!!」
『リリアーナ!!『
バシュウゥゥゥゥゥゥ!!!!
高らかに声を上げた直後、
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