『騎士科』、出撃!
生徒会室で校外実習について話をしてから二週間後。
実習当日を迎えた私はハンガーに着くと、いち早く『メルティーナ』を
・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・。
ヴォンヴォンヴォンヴォン・・・・。
「いよいよこの日が来ましたね・・」
『『メルティーナ』の力があれば何も問題ありませんわ!ただ、アリアは
私の独り言が拡声魔導で漏れていたのか、コクピットハッチ横のタラップに手をかけて『フローレンス』に乗り込もうとしていたエカテリーナが声をかけてきました。
エカテリーナはそのまま機体背面にあるコクピットに軽やかな身のこなしで滑り込んでいきました。
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・。
チチチチチチ・・・・キィィィィン、ズゴォォォォォ!!!
バッシュウゥゥゥゥゥ!!・・ズシィィン!ズシィィン!
そして、ハンガーからパージされたエカテリーナの『フローレンス』が、発導機を唸らせながら『メルティーナ』の方へ歩み出しました。
『お待たせしましたわ!』
『皆さん揃いましたね。前回に続いて本班はこの私、『ジーク』が引率します』
今回の校外実習は学校敷地外、しかも魔獣を討伐すると言う目的から少数の班に分かれつつ、それぞれ離れた場所で行うことになっています。
そして、前回の実機講習同様、『専用機持ち』の私達は同じ班へ組み込まれることになったのです。
『アリア、なにかあったら私がサポートする。安心してくれ』
そう言いながら、『メルティーナ』の肩部装甲に『プラタナ』の手が置かれました。
『さあ!やりますよ!!』
『ユイ、貴女はくれぐれも自重してね。むやみに森林を燃やしていいわけではないのよ?』
『アラクネ』の腕部を上機嫌に掲げたユイちゃんをエカテリーナが窘めていました。
『お義姉様!索敵ならわたくしにお任せください!森林地帯での魔獣討伐・・『ウルディナ』の力を発揮するいい機会ですわ!!』
マリア様の声からも気合いを感じられました。
『全機揃いましたな。では、本班は第二
『
『あれだよ』
私が頭部を傾げていると、『プラタナ』がハンガーの開口から見えている構造物を指差しました。
『プラタナ』が示す先を見ていると、そこには重厚な鋼鉄で出来た巨大なスロープ状のレールが幾つも平行に並んでいました。
そのスロープは見たところ全長数百メートルにもなり、空に向かって斜め上へと伸びていました。
『さあ、アリア。ついてきて』
『は、はい!』
ズシィン・・・ズシィン・・。
そして、『プラタナ』に続いてしばらく歩行した私達は、その巨大なスロープの元に到着しました。
『この
『全重何十トンもある
『だから、基本的に
『『イルティア・レ・イーレ』が初めて運用された時、当時の飛行甲板は木製だったといわれている。そこで、船体をオーバーホールした時に
『なるほど・・』
『では、説明も済んだことですし、私が先に行きますわ!!』
ズシィィン!ズシィィン!
エカテリーナはそう言うと『フローレンス』を操作して
ギウゥゥン・・ガシャン!!ガシャン!!
すると、『フローレンス』の足部分を覆う固定具のような物が稼働して、両脚部とそれぞれの踏み台が固定されて一体化しました。
ウィィン・・。
そして、『フローレンス』は脚部の固定を確認すると、そのままクラウチング・スタートの姿勢を取りました。
『『フローレンス』!配置につきましたわ!!』
ピピッ!
エカテリーナの掛け声の後、『フローレンス』が配置についた発射地点の横に掲げられた看板状の魔導コンソールが表示されました。
シュウゥゥゥゥゥ・・・!!!
そして、
『『フローレンス』、第二
直後、魔導コンソールに表示された数字が学園の管制からのアナウンス音声に合わせて小さくなっていきます。
『四・・三・・二・・一・・』
『エカテリーナ・フォン・ランガース!!『フローレンス』、
『・・
バシュゥゥゥゥゥ・・・・!!!!!
カウントゼロの瞬間、凄まじい量の蒸気を放出しながら、『エカテリーナ』を乗せた踏み台が
バシィ!!ズゴォォォォォォォォ・・・!
そして、空に向けられたレールの先端にたどり着いた『フローレンス』はそのまま踏み台から勢いよくパージされながら弾丸のように大空へと撃ち出されて、瞬く間に小さくなっていきました。
『さあ、次はアリアの番だ』
『は・・はい』
ズシィィン・・・ズシィィン!!
レオン様に促された私は、再びスタート地点に戻ってきた踏み台に『メルティーナ』の歩みを進めました。
ギウゥゥン・・ガシャン!!ガシャン!!
そして、脚部の固定を確認した私は『フローレンス』に倣ってクラウチング・スタートの姿勢をとりました。
『メ、『メルティーナ』、配置につきました!!』
ピピッ!
シュウゥゥゥゥゥ・・・!!!
そして、再び『メルティーナ』の足下から蒸気が立ち込め始めました。
『『メルティーナ』、第二
『アリア、大丈夫。『防御魔導』が発動するから発射の衝撃は感じないよ』
『わ、わかりました』
『七・・六・・』
『お義姉様、この後はわたくしが続きますわ!』
『はいっ!!』
『四・・三・・二・・一・・』
『アリア!!『メルティーナ』で
『・・
バシュゥゥゥゥゥ・・・・!!!!!
管制からの発射アナウンスが聞こえた直後、私を乗せた『メルティーナ』がレールの上を滑り出していきます。
私は『メルティーナ』の腰を落として姿勢を制御しながら考えを巡らせます。
(シエラ様に教えていただいた『魔弾』があれば、私もきっと戦えるはず・・)
(今度こそ・・みんなの力になってみせます・・っ!!)
バシィ!!ズゴォォォォォォォォ・・・!
そして、私の駆る『メルティーナ』が、美しい青空へと撃ち出されていきました。
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