不運な日



あんなきれいな月が

どうして昨夜は見られなかったのでしょう

あのいまいましい雲たちは

どうしてどかなかったのでしょう


昨日の私は天気のごとく

ただ雲と雨にたたかれていたのです

でも 雲は 月を隠して

いっこうに見えなくしたのです


不運な日とは、悲しい日とは、

雨が気味悪くおそってくるのですが

夜となれば月を見せてくれるはずなのです

悲しさの中に 美しい月を見せてくれるはずなのです


でも昨日は……

あんなに不運だったのに

雲も苦しく泣いていたのに

月はかくれてしまいました。


あの不運は

私を雲へと変えました

私は雨を降らせたくなりました

でも、降らせませんでした


代わりに、あの雲たちは

雨を、大粒の雨をこぼしてくれました

私は月を無理につくりました

代わりに、雨はいっそう多く、強くなってくれました

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る