幕間 《白面》
――時は少し前に遡り、白狼騎士団は冒険者達と共に行動していた。白狼騎士団は最も団員が少ないため、黄金級冒険者のリーナとガオウが参加し、他にもクノがクロを連れて同行してくれた。
「ハマーンさん、急に行っちゃったけど……大丈夫かな?」
「こんな時にアルト王子と一緒に何処へ行かれたのでしょうか……」
「爺さんと一緒なら平気だろ、ああ見えても腕利きだからな!!それよりも今は任務に集中しろ!!」
「ガオウ殿の言う通りでござるな、今は他人の心配をしている場合ではないでござる!!」
商業区の地下に存在する白面の施設へ向かい、白狼騎士団と冒険者達は動いていた。ちなみにシノビはリノの元へ戻り、彼女の警護を行う。またリノが命を狙われるか分からないため、彼女を守る人間は必要不可欠だった。
商業区は冒険者ギルドが存在するため、ここの地区だけが最も被害を最小限に抑えられていた。白面も冒険者を相手にするのは避けたいらしく、宰相も冒険者を危険視したからこそ、王命などと偽って冒険者達を警備兵に抑えつけていたのだろう。
最もその冒険者の中で最も戦力になるはずの黄金級冒険者のゴウカとマリンは行方知れずであり、未だに二人が何処にいるのか判明していない。特にゴウカは放ってはおけず、ガオウも彼に敗れた事を思い出して腹立たしく思う。
(あの野郎、今度また現れたら覚えておけよ……おっと、今は仕事に集中しないとな)
ゴウカに対して腹を立てながらも一番の年長者であるガオウは心を落ち着かせ、白狼騎士団と他の冒険者と共に下水道の出入口を探す。しかし、その途中で彼等の前に予想外の存在が立ちはだかる。
『シャアアッ!!』
「なっ!?は、白面!?」
「まだ居たの……しつこい」
「ねえ、止めてよ!!貴方達を救う解毒薬は今作ってるんだよ!?」
白面の集団が白狼騎士団と冒険者達の前に現れ、そんな彼等に対してリーナは慌てて解毒薬の存在を明かす。だが、その言葉に対して白面の内の一人が口を開く。
「解毒薬?そんな都合が良い物があるはずないだろう……我々は騙されんぞ」
「お前等のせいで宰相は死んだ……ならば我々の命運も尽きたも同然だ」
「殺してやる、一人でも多くな!!」
「ちっ……聞く耳持たねえか」
リーナの話を聞いても白面達は信用せず、確かに彼等からすれば自分達を指示していた人間が消え去り、そして自分達を何十年も苦しめ続けてきた毒薬から解放すると言われても信用できるはずがない。
解毒薬の存在を知っているのは宰相とイシとイリアの3人だけであり、白面の間では自分達を苦しめる毒を完全に解毒するための薬が存在するなど知らなかった。だからこそ彼等はリーナ達の話に聞く耳を持たない。自分達の人生を狂わせた毒薬の解毒薬がそう簡単に手に入るはずがない。
「お前達は道連れだ……一人でも多く殺せ!!」
『シャアッ!!』
「く、狂っている……」
「……可哀想」
「同情している暇なんてあるか!!おい、いくぞ!!」
迫りくる白面に対してガオウは武器を抜き、他の者達も交戦は避けられないと判断して構えた――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます