幕間 《見守っているよ》

――その一方で旋斧の所有者であるナイは夢を見ていた。その夢は綺麗な花畑にナイはアルとゴマンと共に座り込み、二人の間に座る形で色々と語り掛ける。



「それでね、その時は本当に死ぬかと思ったよ」

「はあっ……そいつはたまげたな」

「全く、お前は相変わらずだな……」

「うん……」



ナイはこれまでに自分が体験した出来事を二人に話すと、ゴマンとアルは驚いた様な呆れた表情を浮かべて話を聞いてくれる。久々に出会えた二人に対してナイは嬉しく思い、色々と話す。


しかし、二人が死んだ後の出来事も話し終えると、ナイはアルとゴマンに対して黙り込み、そんな彼に二人は黙って肩に手を伸ばす。



「お前が元気そうで何よりだ」

「僕の渡した盾、大切にしてくれてるんだな」

「……うん」



二人の言葉にナイは頷き、目元に涙を流す。ナイはもう理解していた、これが夢である事を。それでもこの二人とまた出会えた事にナイは喜び、もっと二人と一緒に話したかった。



「さあ、もういいだろう……そろそろお別れだな」

「僕の盾、大切にしろよ」

「爺ちゃん……ゴマン……」



しかし、二人は立ち上がると彼等は最後にナイに笑みを浮かべ、アルは彼の頭を撫でるとゴマンはナイと拳を合わせる。そして二人は歩み出し、徐々に姿が小さくなっていく。


ナイは声を掛けようとしたり、手を伸ばそうとしたが、いつの間にかナイの身体が薄れて声を出す事が出来なかった。それでもナイは必死に二人の後を追いかけようとしたが、次の瞬間には意識が覚醒して現実世界へと引き返していた――






※この話を書いた時に涙が出てきました(´;ω;`)

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