幕間 《捨て駒》
『――死んだか、イゾウ』
とある建物の地下にてイゾウの相棒であるシャドウは彼の死を感じ取った。イゾウの体内に埋め込んだ死霊石が感じられず、彼はイゾウの死を悟る。
シャドウの正体は死霊使いであり、彼はイゾウを死霊人形へと変貌させた。里を抜け出してシノビ一族の追手から怯える日々を送っていた彼の元にシャドウは現れ、自分に従う事を条件に彼はイゾウに死霊石を埋め込む。
『また一つ、優秀な駒を失ったな……』
イゾウが死んだ事に対してシャドウは特に動揺もなく、彼の死を悲しむ事も喜ぶこともない。シャドウはイゾウの事を相棒と称し、実際によく働いてくれた。
『また新しい駒を探さないとな……そういえば、あいつの荷物も一応は貰っておくか』
この場所はイゾウがよく塒にしている事を思い出し、彼の私物が置かれている。イゾウがなくなった今、彼に遠慮する必要はなくなったシャドウは彼の荷物を漁ると、ある物を見つけ出す。
『ん?これは……巻物、とかいう奴か?』
イゾウの荷物の中には巻物が入っており、シャドウは中身を開いて確認するが、それは何処かの国の地図が記されていた。その内容は和国の文字で記されているのでシャドウでも読み取れない。
地図と和国の文字が記された巻物を見てシャドウは疑問を抱き、ここで彼はある事を思い出す。先日、和国のシノビが国王に直談判した際、数十本の妖刀が和国の領地に未だに封じられているという話を聞いた。
『こいつはまさか……写しか?あいつめ、面白い物を隠し持っていたな』
シャドウは笑みを浮かべ、彼はイゾウが里を抜け出す際にシノビ一族の秘伝の書の写しを描いて盗んでいたのかと考える。イゾウは抜け目のない男であり、彼は巻物を握りしめる。
『最高の置き土産だ……なあ、あんたもそう思うだろう?』
「――――」
暗闇の中にはシャドウの他にもう一人座り込んでおり、彼に対してシャドウは笑みを浮かべ、巻物を放り込む。
『そいつはあんたにやるよ。じゃあ、俺は行くぜ。闇ギルドの連中ともそろそろ痺れを切らす所だろうからな。あばよ……大将』
シャドウは暗黒空間の中に姿を消し、残された人物は巻物に視線を向け、亡きイゾウのために一言だけ呟く。
「大儀であった」
巻物を手にした老人は立ち上がり、部屋を抜け出す――
※すいません、この話は前話の前に差し込む予定でした!!次の話の投稿が終わったら前話と順番を入れ替えます(;´・ω・)
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