閑話 〈冒険者ガロ〉
「――何をしている新入り!!お前もさっさと荷物運びを手伝わんか!!」
「うるせえっ!!誰が新入りだ、俺は護衛を引き受けたが荷物運びの手伝いをやらされるなんて聞いてないぞ!!」
グマグ火山で起きた異変が世間に知られる前、冒険者になったガロは冒険者としてとある商人の護衛の依頼を引き受けていた。その内容は商団の護衛であり、これからガロは王都を離れて別の街に赴く商談の護衛として同行する予定だった。
だが、実際に護衛として訪れてみたら彼は商団で働く人間達と同じように荷物運びを手伝わされる事になり、その事に文句を告げるとすぐに他の冒険者が抑える。
「おいおい、止めとけよ。依頼者の機嫌を損ねるような真似はするなよ」
「ふざけんなっ!!どうして俺達がこんな事……」
「馬鹿、俺達のような下っ端冒険者が護衛として雇って貰えるだけでも運がいい方なんだぞ。普通ならもっと高い階級の冒険者を雇うのが当たり前なんだ」
「何だと!?人の事を舐めやがって……!!」
「仕方ないだろ、冒険者稼業なんてこんなもんだよ」
先輩の冒険者からガロは抑えられ、彼等に寄れば階級が低い冒険者は滅多に護衛の仕事は任せられないらしい。理由としては階級が低い人間は実力が低いと判断され、そんな者達に大切な荷物を運ぶ商団の護衛など任せられるはずがない。
しかし、商人の中には冒険者を護衛としてではなく、労働力として働かさせるために敢えて階級が低い冒険者を雇う事もある。冒険者達は護衛以外の仕事を任される事に不満を抱く者も多い。しかし、依頼を達成しなければ評価は上がらず、報酬も貰えない。
「今は我慢するんだ。こういう地道な仕事の積み重ねて一歩ずつ前に進む好かないんだよ」
「くそっ……!!」
「お前さん、どうやら腕に自信があるようだが残念だが強いだけだと簡単には昇格できないぞ。もっと上の階級に上がりたければもうちょっと依頼人を丁寧に扱うんだな。愛想よく接すれば依頼人も気に入って高い評価をしてくれるかもしれないし、また仕事に誘ってくれるかもしれない」
「ちぃっ……そんな媚を売るような真似で階級が昇格して嬉しいのかよ」
「嬉しいに決まってるだろ?こういう仕事はつまらない誇りを捨てた奴が上に上がりやすいんだよ」
「……くそがぁっ!!」
ガロは他の冒険者の言葉に憤りながらも荷物を運び、彼が思っていた冒険者は実力社会で自分の力を示せればすぐに階級が上がると思っていた。しかし、この調子では彼が鉄級冒険者から昇格を果たすのは大分先の事になりそうだった――
※頑張れガロ君!!仕事の大切さを学ぶ良い機会だ!!
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